清水(きよみず)磨崖仏群(鹿児島県南九州市川辺町清水)
清水磨崖仏群は、清水川沿いの高さ約20mの崖に約200基の五輪塔や宝篋印塔等が約360mにわたって刻まれているが、この磨崖大五輪塔板碑が最古最大になる。
清水(きよみず)磨崖大五輪塔板碑 (県指定史跡、平安時代末期~鎌倉時代前期 、高さ 10.3m 幅 4.3m)
清水(きよみず)磨崖大五輪塔板碑 (遠景) | 現地説明板(部分) |
清水磨崖仏群で、最古最大のもので、板碑形の頂部に金剛界大日種子、その下いっぱいに五輪塔を線刻し、各輪に大日如来法身真言を刻んでいる。
また、板碑形と五輪塔の間には、約10Cmのマス目があり、その中に墨書きで五千字以上の梵字が記されていた。
五輪塔各輪に大日如来法身真言「ア・バン・ラン・カン・ケン」を刻むのは、釈尊院五輪塔に見られるように平安時代後期様式で、本五輪塔の時代推定に役立っている。
鎌倉時代に入り五輪塔 各輪の梵字は、四門の梵字が多く、五輪塔板碑では大日報身真言「ア・ビ・ラ・ウン・ケン」、のち発心門の梵字「キャ・カ・ラ・バ・ア」が刻まれることが多い。
板碑形、頭部
山形の中、月輪を彫りくぼめて、金剛界大日種子「バン」を刻む。
板碑形山形内、種子「バン」
月輪を深く彫りくぼめて、内に刻まれた金剛界大日如来の種子「バン」。
五輪塔形、空 輪
頂上の空輪は団形で、内に「ケン」の梵字が刻まれている。
大日如来法身真言:「ア・バン・ラン・カン・ケン」
五輪塔形、風 輪
風輪は半月形で、内に「カン」の梵字が刻まれている。
大日如来法身真言:「ア・バン・ラン・カン・ケン」
五輪塔形、火 輪
火輪は三角形で、内に「ラン」の梵字が刻まれている。
大日如来法身真言:「ア・バン・ラン・カン・ケン」
風輪下部が、火輪の上部に噛み合った形状で、中尾五輪塔(嘉応塔)、中尾五輪塔(承安塔)、など平安時代後期の様式にみられる。
五輪塔形、水 輪
水輪は円形で、内に「バン」の梵字が刻まれている。
大日如来法身真言:「ア・バン・ラン・カン・ケン」
五輪塔形、地 輪
地輪は方形で、内に「ア」の梵字が刻まれている。
大日如来法身真言:「ア・バン・ラン・カン・ケン」
前方を流れている川越しに撮った写真で、板碑形が下方まで ほぼ平行に刻まれている。
清水(きよみず)磨崖仏群 一覧
指定 | 名 称 | 制 作 年 | 所 在 地 |
清水(きよみず)磨崖大五輪塔板碑 | 平安後期~鎌倉時代前期 | 鹿児島県南九州市川辺町清水 | |
清水(きよみず)磨崖 月輪大梵字 | 鎌倉時代中期 | 鹿児島県南九州市川辺町清水 | |
清水(きよみず)磨崖 三大宝篋印塔 | 鎌倉時代後期 | 鹿児島県南九州市川辺町清水 | |
清水(きよみず)磨崖 永仁四年銘宝篋印塔 | 鎌倉時代後期 | 鹿児島県南九州市川辺町清水 | |
清水(きよみず)磨崖 宝篋印塔群 | 鎌倉時代後期 | 鹿児島県南九州市川辺町清水 | |
清水(きよみず)磨崖 五輪塔群 | 鎌倉後期~室町時代 | 鹿児島県南九州市川辺町清水 | |
清水(きよみず)磨崖 連刻板碑 | 鎌倉後期~室町時代 | 鹿児島県南九州市川辺町清水 |
清水(きよみず)磨崖仏群、奥側
向かって右側上 三大月輪梵字が鎌倉時代中期、中央 線刻宝篋印塔が鎌倉時代後期、小五輪塔群が室町時代の制作になる。
五輪塔紀年順 | 小村薬師堂(おむらやくしどう)五輪塔(鎌倉時代前期) | 五輪塔-紀年順-目次 |
*JR鹿児島中央駅から鹿児島交通 枕崎行きに乗車、「川辺やすらぎの郷バス停」下車、徒歩 約30分。
(撮影:平成26年5月26日)