清水(きよみず)磨崖 月輪大梵字

 清水(きよみず)磨崖仏群(鹿児島県南九州市川辺町清水)

  磨崖大五輪塔板碑に続く古いもので、今は三つの梵字だが元は五つの梵字があり、さらに弘長四年(1264)の紀年銘があったと江戸時代の古記に記載されている。

清水磨崖 月輪大梵字 [県指定史跡、鎌倉時代中期 弘長四年 1264年、月輪直径 大(不動、薬師) 175Cm 小(計都星) 150Cm ]

向かって左側から不動種子「カーン」、計都星種子「ケー(ケイ)」、薬師種子「バイ」で、次の二つが崩落で無くなったとされている。

清水(きよみず)磨崖 月輪大梵字 現地説明板(部分)

薬師如来「バイ」を中尊として、両側に不吉とされた計都星(彗星)「ケー」・羅睺星(日・月食)「ラー」、それを挟む形で不動明王「カーン」・毘沙門天「バイ」が刻まれている。

この大梵字が彫られた年は、史上最大の彗星が見え、月食も二度あったと言い、薬師如来・不動明王・毘沙門天の力で不吉なことを封じ込めようとしたと考えられている。

月輪大梵字「カーン」(地上高 約10m、月輪直径 約175Cm)

月輪を彫りくぼめ、不動明王の種子「カーン」を薬研彫する。

月輪大梵字「ケー」(地上高 約10m、月輪直径 約150Cm)

月輪を彫りくぼめ、計都星(けいとせい)の種子「ケー」を薬研彫する。

月輪大梵字「バイ」(地上高 約10m、月輪直径 約175Cm)

月輪を彫りくぼめ、薬師如来の種子「バイ」を薬研彫する。

現存 月輪大梵字 [県指定史跡、鎌倉時代中期 弘長四年 1264年、月輪直径 大(不動、薬師) 175Cm 小(計都星) 150Cm]

現存する月輪大梵字は三つで、向かって左側から不動種子「カーン」、計都星(けいとせい)種子「ケー(ケイ)」、薬師種子「バイ」

江戸時代後期 寛政年間(1789~1801)発行「河邊名勝誌」の写本(万延二年:1861)に本磨崖梵字について「岩壁大抵高三丈余、

大圓相五幷大梵字五ツ、右下ニ健願願口明 (梵字三字)、彦山住侶口口坊 敬白 右奉工写梵字志、者為

法界衆生平等利益之状如件、弘長二二(四)(1264)甲子二月と記載されている。(「南九州の石塔」第9号参照)

清水(きよみず)金剛界大日種子磨崖板碑 (県指定史跡、鎌倉時代中期 )

頭部山形、二条線は無く、身部に大きく金剛界大日如来の種子「バン」が薬研彫されている。

板碑形は大梵字と同じ時代に彫られたとみられている。

大梵字三つと板碑形

三つの大梵字中央 計都星「ケー」の下に、金剛界大日如来「バン」を主尊とする板碑形が刻まれている。

清水(きよみず)磨崖 月輪大梵字 他 現地説明板配置図(部分)   

 清水(きよみず)磨崖仏群 一覧

指定 名       称 制  作  年 所    在    地
清水(きよみず)磨崖大五輪塔板碑  平安後期~鎌倉時代前期 鹿児島県南九州市川辺町清水
清水(きよみず)磨崖 月輪大梵字  鎌倉時代中期 鹿児島県南九州市川辺町清水
清水(きよみず)磨崖 三大宝篋印塔  鎌倉時代後期 鹿児島県南九州市川辺町清水
清水(きよみず)磨崖 永仁四年銘宝篋印塔  鎌倉時代後期 鹿児島県南九州市川辺町清水
清水(きよみず)磨崖 宝篋印塔群   鎌倉時代後期 鹿児島県南九州市川辺町清水
清水(きよみず)磨崖 五輪塔群  鎌倉後期~室町時代 鹿児島県南九州市川辺町清水
清水(きよみず)磨崖 連刻板碑  鎌倉後期~室町時代 鹿児島県南九州市川辺町清水

 清水(きよみず)磨崖 三大宝篋印塔                        石仏と石塔-目次!

清水(きよみず)磨崖仏群、奥側

向かって右側大月輪梵字とその下板碑形が鎌倉時代中期、中央 線刻宝篋印塔が鎌倉時代後期、小五輪塔群が室町時代の制作になる。

 板碑(いたび)

*JR鹿児島中央駅から鹿児島交通 枕崎行きに乗車、「川辺やすらぎの郷バス停」下車、徒歩 約30分。

(撮影:平成26年5月26日)