鷲原寺(わしはらじ・しゅうげんじ)奥院・岩屋観音(兵庫県朝来市岩津)
岩屋の天井に金剛界大日の磨崖仏が刻まれ、岩屋内に 石大工 心阿(しんあ)銘の不動石仏、他に十一面千手観音を中心とした、計十五体の石仏が安置されている
鷲原寺奥院 不動石仏(県指定文化財、鎌倉時代後期 永仁四年 1296年、花崗岩、高さ 126Cm)
地元産、長方形の加都石(花崗岩)を使用し、右手に利剣、左手に羂索を持つ不動明王を上方に、二童子と倶利伽羅竜を下方に、半肉・薄肉を交えて刻む
永仁四年(1296)は釈迦入滅後2,245年目にあたる。仏滅後の年数を刻むことは、平安時代から始まった末法思想によるものという
不動石仏に刻まれた 大工 心阿(しんあ)の名は、「光明坊十三重石塔西側台石」、「宗光寺七重石塔」、「安養院宝篋印塔」、「箱根山宝篋印塔」にみられる
心阿の名が刻まれている光明坊西側台石は永仁六年(1298)、箱根山宝篋印塔追刻は正安二年(1300)、安養院宝篋印塔は徳治三年(1308)の紀年銘がある
この不動石仏は、永仁四年(1296)の作で、年代的には合致している。他に仏滅紀年銘があり、仏滅紀年銘は、和束弥勒磨崖仏、輿山往生院宝篋印塔にみられる
石仏は、櫓(やぐら)建て三階部の一段高い所に拝所を設け、その奥にある 幅 5.5m、奥行 5.15m、高さ 4.85Cmの岩屋内に 計十五体 安置されている
鷲原寺 奥院(岩屋観音)石仏群(県指定文化財、鎌倉時代後期〜南北朝時代前期、花崗岩)
不動石仏を除いた十四体は、光背形の表面に半肉に刻まれ、いずれも精巧に彫られている
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石仏群の中心、十一面千手観音 | 前列中央、准胝(じゅんでい)観音 |
石仏群、中央の石仏 (六観音)
石仏は、護摩壇 後方の洞に安置されている為、護摩木を焚いた煤がつき黒くなっている
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前列、向かって右から二体目、 十一面観音 | 前列、向かって右端、 馬頭観音 |
前列、向かって右側の石仏 (六観音)
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前列、向かって左端、 聖観音 | 前列、向かって左から二体目、 如意輪観音 |
前列、向かって左側の石仏 (六観音)
岩屋の天井に刻まれた、智拳印を結ぶ金剛界大日如来磨崖仏
鷲原寺(わしはらでら)奥院 岩屋観音
*JR播但線「新井(にい)駅」下車、徒歩 約90分。毎月18日の午前中に開帳される。この日は、年に一度の春の大祭、櫓建て三階の小広間でお勤めをした後、開帳された。拝所の奥にある岩屋(洞窟)に安置されている。岩屋は、荘厳な雰囲気で、なにより有難い石仏の御開帳とあって、たくさんの人と同様、有難く拝ませて頂いた。洞内は、電球1個で照らされ、暗く、ISO2000で、手ぶれしたため、ISO6400とISO12800で撮影した。天井の磨崖仏は、ISO12800の超高感度でもシャッター速度が1/20しかとれなかった。また、洞内が狭く、順番に並んで拝する為、数分の撮影になった。当初、撮影できるとは思っていなかった為、二順目に並び撮影した。
(撮影:平成22年4月18日)