祇園寺(ぎおんじ)(岡山県高梁市巨瀬町2674)
他所より請来された十三重石塔で、中世の美しい姿を見せている。
祇園寺(ぎおんじ)十三重石塔 (市指定文化財、推定:鎌倉時代後期~南北朝時代、花崗岩、高さ 約 500Cm)
(但し、高梁市のホーム・ページは、本十三重石塔を鎌倉時代初期から中期にかけての作品としている。)
初層軸部(西面)、輪郭を巻き、内に阿弥陀種子を平底彫りする。 | ||
請来されたされた十三重石塔で、広い境内の南東隅に立っている。 | 初層軸部(北面)、輪郭を巻き、内に不空成就種子を平底彫りする。 |
初層軸部は、壇上積式に輪郭を巻き、内に金剛界四仏の種子を月輪内に平底彫りする。金剛界四仏の種子は、方向通り西面に阿弥陀如来
の種子「キリーク」、北面に不空成就如来の種子「アク」、東面に阿閦(あしゅく)如来の種子「ウーン」、南面に宝生如来の種子「タラーク」を刻む。
十三重屋根
十三重屋根は、層塔の屋根というより笠塔婆の屋根様に仕上げられている。
特に、京都市の上醍醐町石笠塔婆では、鎌倉時代中期と江戸時代前期のものが混在し、笠の形状も異なるのが興味深い。
初層軸部(東面)、輪郭を巻き、内に阿閦種子を平底彫りする。 | ||
初層軸部(南面)、輪郭を巻き、内に宝生種子を平底彫りする。 | 十三重石塔は、本来の基礎を欠き新しい基礎上に載る。 |
十三重石塔の逓減は少なく、屋根も薄く力強さに欠け、繊細な印象を与えている。初層軸部の平底彫りは、平安時代後期の
於美阿志神社 十三重石塔(奈良県)や円成寺十三重石塔(奈良県の初層軸部に見られる手法だが、本石塔は彫りが浅い。
鎌倉時代後期に入ってからの平底彫りは、山口県周南市の上年墓地五輪塔の四門の梵字に見られ、彫りが浅い。口口口.
初層屋根
軒口薄く、反りは弱い。上部に小さめで低い上層の軸部、下端に薄く小さい垂木型を刻出する。
相輪は下から、伏鉢・請花・九輪・請花・宝珠で、伏鉢は膨らみがなく、九輪の溝は浅く、宝珠の形も悪い。 |
祇園寺 参道入口
石鳥居の額に「祇園宮」と陽刻されている。この石鳥居をくぐり山道の参道を登る。
壹丁石、参道入り口の石鳥居をくぐって約100mの位置にある。 | 一丁石、祇園寺入口の下方 約100mの参道に立っている。 |
「壹丁石」には六名村講中の文字が見える。「一丁石」は、上方に薬師如来の種子「バイ」、下方に備後屋の名が刻まれている。
祇園寺 入口
この石段を登り、少し歩くと祇園寺にたどり着く。
「祇園宮」(祇園寺の境内社)
鳥居の額に「祇園 牛頭天王」と書かれている。石段を登った右手に強大な天狗大杉が立つ。
天狗大杉(県指定天然記念物)
祇園宮の境内に立つ巨大な杉で、弘法大師の御手植えと伝えている。
祇園寺(ぎおんじ)(真言宗 善通寺派別格本山)
*JR高梁駅前 高梁バスセンターから備北バス 川面駅行きに乗車、「六名口バス停」下車、北北西方向へ 徒歩 約45分。
(撮影:平成26年 1月 6日)