上年墓地(じょうねんぼち)五輪塔

 上年墓地(じょうねんぼち)五輪塔 [ 山口県周南市上村(じょうそん)西南野下]

  五輪塔 四門の梵字を平底彫りで大きくあらわし、全体に力強さを感じる優品。鎌倉時代後期 嘉元元年(1303)の紀年銘がある。

上年墓地(じょうねんぼち)五輪塔 (市指定文化財、鎌倉時代後期 嘉元元年 1303年、安山岩、高さ 160Cm)

風・空輪、一石からなり大きく力強い。
上年墓地の北東側 角に立つ。古風な形状を表す五輪塔。 水輪、やや角ばった球形で安定感がある。

火 輪

軒口薄く、緩やかに反る。軒の勾配もゆるく、古風を示す。

各輪の四面は、浅い平底彫りで「五輪塔四門の梵字」を大きくあらわす。西面(上写真、左)は、西面で菩提門の梵字を表す。

五輪塔 四門の梵字、上(空輪)から下(地輪)へ

キャ・カ・ラ・バ・ア   (東方、発心門)               キャー・カー・ラー・バー・アー   (南方、修行門)

ケン・カン・ラン・バン・アン   (西方、菩提門)         キャク・カク・ラク・バク・アク    (北方、涅槃門)

水 輪

水輪正面の梵字「バー」の両側に「為成佛」、「嘉元ゝ(元)(1303)十二月十九日」の刻銘がある。

刻銘:「嘉元ゝ(元)(1303)十二月十九日」 刻銘:「為成佛」

地 輪

地輪は低く古風を示す。内部が刳りぬかれ、中に小石が詰められている。

旧徳山市教育委員会の調査では、中に遺品はなく、下方横に水抜き穴があけられ、水鉢に使用した時期があったかもしれないという。

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上年墓地(じょうねんぼち)五輪塔 (市指定文化財、鎌倉時代後期 嘉元元年 1303年)

上年墓地の東側、最上段に安置されている。

尚、「日本石造美術辞典」(川勝 政太郎 著)では、地名から「上村(じょうそん)墓地五輪塔」と紹介されている。

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*JR山陽本線 新南陽駅前より防長バス 四熊・鹿野方面行きに乗車、「徳善バス停」下車、北北東方向へ約500m。

(撮影:平成26年 3月12日)