無量寺(むりょうじ)(奈良県生駒市壱分町853)
五輪塔は伊派 石大工 伊行氏(いのゆきうじ)の作品。地輪の四面に行基への追慕を表した長文を刻む貴重な遺品
無量寺五輪塔(鎌倉時代後期 嘉元二年 1304年、花崗岩、高さ 137.5Cm)
五輪塔 風・空輪は別の小五輪塔の水輪を流用する | ||
門を入り、右側の小さな池の対岸に、樹木に覆わて五輪塔が立っている | 五輪塔 火輪は、別物の後補 |
この五輪塔はもともと無量寺にあったものではなく、行基の墓があることで有名な竹林寺の辺りにあったのを移したという
五輪塔 地輪 南面
刻銘:「右為二親并」「法界衆生」「平等利益也」「夫以弟子悲」「勝宿因有幸」「生仏法流世」
五輪塔 水輪は、古いものだが別物 | ||
無量寺 本堂 | 地輪に刻まれた刻銘は、石造文化を知る上で貴重な遺品 |
地輪の銘文には、願主慈勝が二親の供養に建塔したが、特に行基菩薩の盆に預かることを謝し、行基の恩徳に報いんとする趣旨を述べている
五輪塔 地輪 西面
刻銘:「善果感是」「預行基之」「盆是則生々」「値遇也世々」「結縁也依之」「且為報菩提」
五輪塔 地輪 北面
刻銘:「恩徳且為訪」「法界衆生」「所造立之如」「件敬白」「嘉元二年」「二月十八日」
五輪塔 地輪 東面
刻銘:「願主慈勝」「比丘入西」「沙弥願永」「尼心阿弥」「大工井行氏」
比丘入西は、嘉元三年(1305)に凝然の記した『竹林寺略録』に入西上人と見える人であって、この
石塔が竹林寺関係の遺品であることが知られる(日本石材工芸史:川勝政太郎 著、綜芸舎 刊)
無 量 寺
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*近鉄生駒線「一分駅」下車、東方向へ 徒歩5分。
(撮影:平成20年10月4日)