浄真寺(じょうしんじ)五輪塔

 浄真寺(じょうしんじ)(山口県周南市大字富田2960)

   隣に立つ曼荼羅板碑と同時に発掘された五輪塔で、一石で彫成されている。制作は、鎌倉時代中期頃と推定されている。

浄真寺(じょうしんじ)一石五輪塔 (市指定文化財、鎌倉時代中期、平野石:安山岩、高さ 79Cm)

本堂に向って左手、墓地に抜ける通路に曼荼羅板碑と共に立つ。平野石と呼ばれる安山岩から、五輪塔を一石で彫成する。

五輪塔は美しく成形され、大分県臼杵市の中尾(なかお)五輪塔(平安時代後期)日吉社五輪塔(平安末〜鎌倉初期)、や岩手県平泉町の

中尊寺一石宝塔(伝 弁慶の墓)(平安後期)等、平安時代後期から鎌倉時代前期の一石で造られた石造五輪塔・宝塔の発展形と思われる。

空・風輪

空輪は鎌倉前期に見られる蓮の蕾(つぼみ)形をし、風輪は半球で下部の球を火輪にくい込ませた形。

空輪の形は、勝尾寺(かつおうじ)五輪塔(鎌倉前期)等に、風輪の特徴は西南院(さいなんいん)五輪塔(鎌倉中期)にみられる。

火 輪

軒口薄くゆったりと反る、勾配は直線的で反りはない。

水 輪

比較的大きく、段形に仕上げている。

地 輪

地輪は、平面六角形に仕上げ、背は低く古風を感じる。

一石で彫成された五輪塔は、各輪の梵字はなく、工芸的な感じがする。

一石五輪塔と曼荼羅板碑(市文、鎌倉時代中期)

一石五輪塔と板碑は、もと寺裏の田圃の畔から掘り出されたもので、昭和55年(1980)に浄真寺に移された。

浄真寺、墓地への通路

板碑と一石五輪塔は、墓地への通路 入口(写真、奥)あたりに安置されている。

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浄真寺(じょうしんじ)本堂(浄土宗)

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*JR山陽本線 徳山駅前より防長バス 防府駅・戸田駅・湯野温泉方面行きに乗車、「新町口バス停」下車、北方向へ徒歩 約5分。又は、「新南陽駅」下車、西北西方向へ徒歩 約1.4Km。

(撮影:平成26年 3月12日)