法願寺跡に立つ板碑二十基中、阿弥陀三尊種子板碑、釈迦三尊種子板碑、三尊種子断碑、明徳四年銘 阿弥陀種子板碑、の項目で紹介した以外の在銘 八基。
法願寺跡(高木地蔵堂)(埼玉県さいたま市西区大字高木446)
惜しくも 板碑上半を欠失する。法願寺板碑群のなかで最も古い鎌倉時代後期 正安四年(1302)の紀年銘がある。
法願寺(ほうがんじ) 断碑(市指定文化財、鎌倉時代後期 正安四年 1302年、緑泥片岩、高さ 42Cm 下幅 33Cm) |
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板碑の刻銘
中央に「口安四年(1302)、壬刁(寅)、六月日」、左右に各二行「無量寿経」に出る偈(げ)を刻む。
年号は欠けているが「安」の字と干支で「正安」と分かる。
偈(げ):「其仏本願力(ごぶつほんがんりき)、聞名欲往生(もんみょうよくおうじょう)、皆悉到彼国(かいしつとうひこく)、自致不退転(じちふたいてん)」
[ その仏(阿弥陀如来)の本願力により、名を聞いて往生せんと欲すれば、皆ことごとく彼の国(極楽)に到りて、おのずから不退転に致らん。 ]
法願寺跡(高木地蔵堂)(埼玉県さいたま市西区大字高木446)
上記 正安四年銘断碑の横に立つ板碑で、南北朝時代後期 永徳四年(1384)の紀年銘がある。
法願寺 阿弥陀種子板碑(市指定文化財、南北朝時代後期 永徳四年 1384年、緑泥片岩、高さ 40Cm 下幅 19Cm) |
頭部山形、下に二段の切込、身部の輪郭はなく、上方 蓮座上に阿弥陀種子、下方に「永徳四年(1384)」の紀年銘を刻む。
蓮座上に阿弥陀種子「キリーク」が薬研彫されている。 | 刻銘:「永徳二二(四)年(1384)、二月廿日」 |
並んで立つ二基の板碑(通路側)
通路側、最大高の阿弥陀三尊板碑の方向に向って立つ二基。
並んで立つ三基の板碑(奥側)
最大高の阿弥陀三尊板碑の右側奥に立つ三基。
法願寺跡(高木地蔵堂)(埼玉県さいたま市西区大字高木446)
奥側左端に立つ。 阿弥陀種子を主尊とする板碑で、鎌倉時代後期 元応二年(1320)の紀年銘がある。
法願寺 阿弥陀種子板碑(市指定文化財、鎌倉時代後期 元応二年 1320年、緑泥片岩、高さ 49Cm 下幅 21Cm) |
頭部山形、下に二段の切込、身部の輪郭はなく、上方 蓮座上に阿弥陀種子「キリーク」、下方に「元応二年(1320)、庚申、十一月」の紀年銘を刻む。
法願寺跡(高木地蔵堂)(埼玉県さいたま市西区大字高木446)
奥側中央に立つ。 阿弥陀種子を主尊とする板碑で、南北朝時代後期 永和四年(1378)の紀年銘がある。
法願寺 阿弥陀種子板碑(市指定文化財、南北朝時代後期 永和四年 1378年、緑泥片岩、高さ 44Cm 下幅 19Cm) |
頭部山形、下に二段の切込、身部の輪郭はなく、上方 蓮座上に阿弥陀種子「キリーク」、下方に「永和四年(1378)九・・・・」の紀年銘を刻む。
法願寺跡(高木地蔵堂)(埼玉県さいたま市西区大字高木446)
奥側右端に立つ。 阿弥陀種子を主尊とする板碑で、南北朝時代後期 永徳三年(1383)の紀年銘がある。
法願寺 阿弥陀種子板碑(市指定文化財、南北朝時代後期 永徳三年 1383年、緑泥片岩、高さ 38Cm 下幅 20Cm) |
頭部山形、下に二段の切込、身部は一重線の輪郭を巻き、上方 蓮座上に阿弥陀種子「キリーク」、下方に「永徳三口(1383)、四月廿三日」の紀年銘を刻む。
法願寺跡(高木地蔵堂)(埼玉県さいたま市西区大字高木446)
通路側、通路に向って立つ板碑群中、向って右から三基目。 阿弥陀種子を主尊とする板碑で、室町時代前期 応永十二年(1405)の紀年銘がある。
法願寺 阿弥陀種子板碑(市指定文化財、室町時代前期 応永十二年 1405年 、緑泥片岩、高さ 31Cm 下幅 16Cm) |
頭部山形、下に二段の切込、身部は一重線の輪郭を巻き、上方 蓮座上に阿弥陀種子「キリーク」、下方に「応永十二年(1405)、六月、十一日、光、口」と刻む。
法願寺跡(高木地蔵堂)(埼玉県さいたま市西区大字高木446)
通路側、通路に向って立つ板碑群中、向って右から二基目。 阿弥陀種子を主尊とする板碑で、南北朝時代中期 延文元年(1356)の紀年銘がある。
法願寺 阿弥陀種子板碑(市指定文化財、南北朝時代中期 延文元年 1356年、緑泥片岩、高さ 37Cm 下幅 20Cm) |
頭部山形、下に二段の切込、身部は一重線の輪郭を巻き、上方 蓮座上に阿弥陀種子「キリーク」、下方に「延文元年(1356)五月、廿八日」の紀年銘を刻む。
法願寺跡(高木地蔵堂)(埼玉県さいたま市西区大字高木446)
通路側、通路に向って立つ板碑群中、向って右端。 阿弥陀種子を主尊とする板碑で、室町時代初期 応永二年(1395)の紀年銘がある。
法願寺 阿弥陀種子板碑(市指定文化財、室町時代初期 応永二年 1395年、緑泥片岩、高さ 39Cm 下幅 17Cm) |
頭部山形、下に二段の切込、身部は一重線の輪郭を巻き、上方 蓮座上に阿弥陀種子「キリーク」、下方に「応永二年(1395)九月十日」の紀年銘を刻む。
通路に向って立つ板碑群
法願寺 阿弥陀三尊種子板碑(市指定文化財、年紀不明、緑泥片岩、高さ 35Cm 下幅 24Cm)
頭部山形、下に二段の切込、身部の輪郭はなく、上方に阿弥陀三尊種子、左右に「光明真言」を刻む。
阿弥陀三尊は、上方に阿弥陀如来の種子「キリーク」、向って右下 に観音菩薩の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を刻む。
法願寺(ほうがんじ)板碑群(市指定文化財、鎌倉時代後期~室町時代中期、緑泥片岩)
南北朝時代の板碑を中心に鎌倉時代後期~室町時代中期の板碑が二十基立っている。
*JR川越線「西大宮駅」下車、北西方向へ徒歩 約14分。
(撮影:平成25年3月8日)