八幡神社(はちまんじんじゃ)(宮城県石巻市南境字妙見8)
碑面に九仏の種子を三行三列で刻む追善石塔婆で、鎌倉時代後期初め 正安三年(1301)の紀年銘がある。
八幡神社 九仏種子石塔婆 (鎌倉時代後期 正安三年 1301年、粘板岩、高さ 165Cm 幅 42Cm 厚さ 14Cm)
石塔婆は、身部に三行三列の罫線を引き、内に九仏の種子を配す。下方は、亡き父追善の願文と正安三年(1301)の紀年銘を刻む。 |
身部中央の九仏
密教系の種子が多く使われている。もしかしたら、十三仏成立過程の九仏かもしれない。
十三仏は、死者の追善供養のために①.初七日(不動)、②.二七日(釈迦)、③.三七日(文殊)、④.四七日(普賢)、⑤.五七日(地蔵)、⑥..六七日(弥勒)、⑦.七七日(薬師)、
⑧.百ヶ日(観音)、⑨.一周忌(勢至)、⑩.三回忌(阿弥陀)、⑪.七回忌(阿閦)、⑫.十三回忌(大日)、⑬.三十三回忌(虚空蔵)の十三仏事にわりあてられた仏・菩薩をいう。・・
(○内番号は、十三仏の順序) 下記は、十三仏の忌日供養の日(年)を独断で当てて見た。
④.普賢菩薩(四七日) | -⑩.阿弥陀如来(三回忌) | ①.不動明王(初七日) |
---(ウーン) | (キリーク)- | (カーン) |
九仏 一段目
④.普賢は通常「アン」で表すが、ここでは「ウーン」で表現。(例:一皇子宮(いちおうじぐう)十三仏種子石塔婆)
⑬.金剛界大日如来(三十三回忌) | ⑪.金剛界大日如来(七回忌) | ②.釈迦如来(二七日) |
(バーンク) | (バン) | (バク) |
九仏 二段目
十三仏碑の仏尊が定型化する以前は、十三仏碑の多くが最後の三仏(⑪・⑫・⑬)を金・胎大日種子に変えて刻んでいる。
⑫大日如来(十三回忌) | ⑥.弥勒菩薩(六七日) | ⑧.観音菩薩(百ヶ日) |
(キャ) | (ア) | (サ) |
九仏 三段目
⑥.弥勒は通常「ユ」で表すが、ここでは「ア」で表現。(例:清谷寺(せいこくじ)十三仏種子板碑)
※ 「ア」は、諸仏の通種子として使われる。
石塔婆 下部
中央に、「弘安三年(1301)七月日」、その両側に「右志者為過去、慈父往生極楽也」と刻んでいる。
[ 亡き父の極楽往生を願って、鎌倉時代後期 弘安三年(1301)七月に造立した。]
近くの民家にも、同じ九仏を刻む石塔婆がある。 | 刻銘:「弘安三年(1301)七月日」 |
八幡境内に立つ石塔婆
九仏種子石塔婆の両隣りは、近世の石塔婆。
※ (参考) 当サイトに掲載している十三仏板碑(石塔婆)の一覧。
八幡神社(はちまんじんじゃ)一尊種子石塔婆 石仏と石塔-目次!
八幡神社(はちまんじんじゃ)
*JR石巻線・仙石線 「石巻駅」下車、北方向へ 約3.3Km。駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。
(撮影:平成26年4月12日)