一皇子宮(いちおうじぐう)十三仏種子石塔婆

 一皇子宮(いちおうじぐう)(宮城県石巻市湊字大門崎山 2)

   形状の制約からか、珍しい配列をした十三仏石塔婆で、室町時代前期 応永十年代(1403~12)の紀年銘がある。

一皇子宮 十三仏種子石塔婆 (室町時代前期 応永十口年 1403~12年、粘板岩、高さ 170Cm 幅 50Cm)

十三仏は、石塔婆の形状から、頂上に虚空蔵、下の十二仏は、上から二段が各二仏、その下二段が各三仏、最下部が残り二仏になる。

十三仏は、死者の追善供養のために①.初七日(不動)、.二七日(釈迦)、.三七日(文殊)、④.四七日(普賢)、.五七日(地蔵)、..六七日(弥勒)、⑦.七七日(薬師)、

.百ヶ日(観音)、.一周忌(勢至)、.三回忌(阿弥陀)、.七回忌(阿閦)、.十三回忌(大日)、.三十三回忌(虚空蔵)の十三仏事にわりあてられた仏・菩薩をいう。・・

最初の十仏は、閻魔王など十王の本地仏を、初七日(不動)から三回忌(阿弥陀)までに当て、この十仏に七回忌 阿閦、十三回忌 大日、三十三回忌 虚空蔵を加えたのが十三仏。

本板碑では、最後の三仏が、金剛界大日(バン)、胎蔵界大日(アーンク)、虚空蔵(タラーク)となっている。(内番号は、十三仏の順序)

当地域で、十三仏碑の仏尊が定型化するのは室町時代 十五世紀中頃以降なる。その間は、十三仏碑の多くが最後の三仏いずれかを金・胎大日に変えて刻んでいる。

十三仏の頂上部

⑬.虚空蔵菩薩(三十三回忌)「タラーク」

.胎蔵界大日如来(十三回忌) - ⑪.金剛界大日如来(七回忌)
----------(アーンク) - (バン)      

十二仏部 一段目

   ⑩.阿弥陀如来(三回忌)   - ⑨.勢至菩薩(一周忌)
(キリーク) - (サク)

十二仏部 二段目

⑧.観音菩薩(百ヶ日) ⑦.薬師如来(七七日) ⑥.弥勒菩薩(六七日)
(サ) (バイ) (ユ)

十二仏部 三段目

⑤.地蔵菩薩(五七日) ④.普賢菩薩(四七日) ③.文殊菩薩(三七日)
(カ) (ウーン) (マン)

十二仏部 四段目

.普賢は通常「アン」で表すが、ここでは「ウーン」で表現している。

 ②.釈迦如来(二七日)     -    ①.不動明王(初七日)
(バク) - (カーン)

十二仏部 五段目

十三仏の順序は十二仏部の五段目右端 ①.不動明王「カーン」を基点として左側へ、五段目が終われば

、同様に四段目右から左側へ、順に三・二・一段目へと続き、最上段⑬.虚空蔵菩薩 「タラーク」で終わる。

石塔婆 下部

身部中央に、「右奉造立 應永十(1403~12)・・・・・・・」の紀年銘、

その両側に「一千本塔婆・・・・・・・・・、年自他法界・・・・・・・・」と刻んでいる。

刻銘:「應永十(1403~12)・・・・・」 十三仏碑は、下段の十二仏が二仏と三仏の配置になっている。

十三仏碑は、素材の形状に制約され、下段の十二仏種子の配置が二仏・三仏とイレギュラーになったと思われる。

※ (参考) 当サイトに掲載している十三仏板碑(石塔婆)の一覧。

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一皇子宮(いちおうじぐう)の石塔婆

中世の石塔婆は五基あり、他は近世のもの。

 板碑(いたび)

*JR石巻線・仙石線 「石巻駅」下車、南東方向へ徒歩 約2.3Km。

(撮影:平成26年4月10日)