旧 観音正寺(かんのんしょうじ)三重石塔

 四君子苑(しくんしえん)(北村美術館)(京都市上京区河原町今出川南一筋目東入る)

  北村美術館南側に隣接して四君子苑がある。その庭園に北村謹二郎氏が蒐集した日本を代表する石造美術の数々が置かれている。苑内・庭園内は、撮影禁止。

旧 観音正寺(かんのんしょうじ)三重石塔 (鎌倉時代前期、花崗岩、高さ 300Cm以上)

三層目屋根、露盤の造り出しはない。
唯一撮影できる。四君子苑の門をくぐった右側の小庭園に立っている 二層目屋根、軒反は緩やかに反っている

観音正寺(かんのんしょうじ)は滋賀県蒲生郡安土町石寺2にある西国三十三カ所第32番札所で、千手千眼観音を本尊とする天台宗の寺院

三重石塔 基礎

基礎は低く古式を示し、頂部に一段の請座を設ける

初層屋根、各層屋根の上部に、逓減された上層の軸部をつくりだす
初層軸部、背が高く、四面とも無地 相輪は、下から伏鉢・請花・九輪・請花・宝珠。

四君子苑(しくんしえん)の石造美術品

 四君子苑の庭園には、我国を代表する石造美術品をはじめとして約六十点が配置されている。春・秋のシーズンに約1週間位の公開日があり、

 公開日は宣伝されず、問い合わせれば教えてもらえる。主なものは、下記の通り。

 1.旧 妙真寺(みょうしんじ)宝篋印塔(鶴の塔)

   旧 妙真寺(みょうしんじ)宝篋印塔(重要文化財、鎌倉時代中期、花崗岩、高さ 191Cm)

    庭園中央の奥(東)、鴨川の方に置かれている。元、京都市伏見区の妙真寺にあったもの。塔身の四隅に鏡神社宝篋印塔と同じく、梟(ふくろう)の鳥型がついていて中国の呉越王、

    銭 弘俶(せん こうしゅく)塔に似た形をしている。塔身は、蓮華座上に四方仏を半肉彫りし、基礎は側面を三区に分け各々月輪を陽刻し、内に三尊種子を陰刻する。

    塔身を挟んで、基礎上端・笠下端が斜面になっている。笠上も斜面で上端に露盤をつくる。隅飾りは大きく、上下二区に分け、上区は火焔、下区は蓮華座上月輪を陽刻し、梵字を刻

    む。相輪は九輪の中ほどを欠失し、現在三輪になっている。宝篋印塔の起源に関して重要な石塔で、薮田嘉一郎氏の「宝篋印塔の起源」(綜芸舎)の表紙に使われている。

 2.旧 報恩寺(ほうおんじ)石燈籠

   旧 報恩寺(ほうおんじ)石燈籠(重要文化財、鎌倉時代中期、花崗岩、高さ 242Cm)

    南側渡り廊下の奥、広間南側の六畳間の東側庭園に配されている。元、京都市上京区の報恩寺にあった八角型の石燈籠で完存し、石清水の永仁の燈篭より少し古いと言われて

    いる。笠上に宝珠受けの蓮弁を刻み、別石の宝珠をはめ込む。笠は軒がほとんど反らず、蕨手(わらびて)は引き締まっている。火袋は四方に火口を広くしてとり、他の四面は観音と

   地蔵の立像各二体を配置する。中台は側面を薄くして二区に分け、下端は八角の各中央にのびのびとした単弁の蓮弁を一葉ずつ彫る。この蓮弁がシャープでたまらなく美しい。竿(

   さお)は円柱で、中節に連珠文を刻む。基礎は上端一段の上に複弁反花、その上に竿受の小蓮華座を刻む。基礎側面には、格狭間がつくられている。どっしりとし、美しさが際立つ。

 3.旧 赤野井別院(あかのいべついん)宝塔基礎

   旧 赤野井別院(あかのいべついん)宝塔基礎(鎌倉時代後期、花崗岩、高さ 41Cm 幅 94Cm)

    渡り廊下の手前南側に、大きな宝塔基礎の上端を穿って方形の水穴をつくった手水鉢が配されている。元、滋賀県守山市赤野井の本願寺別院から流出したもので、四面とも側面の

    輪郭をとり、格狭間内に対向する孔雀文様を半肉彫りする。一面につき二羽、立体的に彫られた孔雀文様は豪華で、しばし見惚れてしまった。孔雀文様は近江文様であるが、滋賀県

    に残っている数少ない優秀な遺品にも負けない逸品だ。

 4.旧 鴻池家(こうのいけけ)石燈籠

   旧 鴻池家(こうのいけけ)石燈籠(重要文化財、鎌倉時代中期 嘉禎三年 1237年、花崗岩、高さ 236Cm)

    南端の立札席(りゅうれいせき)南側の小庭園に配されている。大阪・鴻池家伝来の六角型石燈籠で、もとは奈良県の古寺から流出したと思われている。石燈籠では日本最古嘉禎

   年(1237)の紀年銘を持つ。宝珠はやや小振り、笠の蕨手(わらびて)は一部残っており古い様式を見せている。火袋は一面を火口として残る五面に五智如来(金剛界大日如来・阿閦

   如来・宝生如来・阿弥陀如来・不空成就如来 : 金剛界五仏)を半肉彫りする。各面の上区は横連子、下区は格狭間が各二区つくられる。中台は大きい単弁を刻む蓮台式、竿(さお)

   は円柱で、中節を挟んで「嘉禎三年(1237)丁酉四月一日」の在銘最古の紀年銘が刻まれている。基礎はほぼ円形の自然石に上端に十二葉の蓮華文を刻んでいる。

 5.北村家(きたむらけ)阿弥陀石仏

   北村家(きたむらけ)阿弥陀石仏(平安時代後期、花崗岩、高さ 121Cm:京都市上京区の清和院 弥勒堂に祀られていた)

 6.北村家(きたむらけ)五輪塔

   北村家(きたむらけ)五輪塔(平安時代後期、凝灰岩、高さ 54Cm:福岡県太宰府東北の宝満山から出土)

 7.旧 大日寺(だいにちじ)五輪塔

   旧 大日寺(だいにちじ)五輪塔(鎌倉時代中期 文永二年 1265年、凝灰岩、高さ 127Cm:鳥取県倉吉市桜の大日寺にあったもの)

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*京阪電鉄「出町柳駅」下車、西南方向へ徒歩 約7分。

(撮影:平成22年10月27日)