極楽寺(ごくらくじ)石塔婆群(岩手県北上市稲瀬町内角岡30)
石塔婆群、二基ある有紀年銘石塔婆の一基で鎌倉時代後期 延慶四年(1311)の紀年銘がある。
阿弥陀種子石塔婆(県指定文化財、鎌倉時代後期 延慶四年 1311年、両輝石安山岩、高さ 56Cm 幅 35.5Cm)
石面 上方、蓮座上月輪内に阿弥陀如来の種子「キリーク」、下方に「延慶四年(1311)、辛亥、五月」の紀年銘と願文を刻む。 |
極楽寺入口、二つの覆屋内に十二基の石塔婆が集められている。内八基は県指定文化財。本石塔婆は、向って右側覆屋内、右から四基目に位置する。
石塔婆 上部
蓮座上月輪内に阿弥陀如来の種子「キリーク」を刻む。
本石塔婆 現地説明板 | 本石塔婆、正面 |
石塔婆 下部
刻銘は、左右に「右志者慈父幽口、乃至法界平ホ(等)利益」、中央に「延慶二二(四)年(1311)、辛亥、五月」と刻む。
[ 延慶四年(1311)五月、亡き父の供養の為、本石塔婆を造立し供養した。]
(尚、年号の延慶年は、延慶四年(1311)四月二十七日迄で、五月は改元されていて応長元年になる。)
向って右側覆屋内石塔婆群、六基
本 阿弥陀種子石塔婆は、向って右から四基目。
No | 現地No | 名称 | 種子 | 本地仏 | 十王名 | 忌日・忌年 | 造立者 | 備考 |
1 | ④ | 普賢 種子石塔婆 | ウーン | 普賢菩薩 | 宋帝王 | 三七日 | 最教 | |
2 | ③ | 薬師 種子石塔婆 | バイ | 薬師如来 | 五官王 | 四七日 | 最教 | 六親父母為 |
3 | ① | 阿弥陀 種子石塔婆 | キリーク | 阿弥陀如来 | 泰山王 | 七七日 | 最教 | 延慶三年(1310) |
4 | ② | 観音 種子石塔婆 | サ | 観音菩薩 | 平等王 | 百ケ日 | 最教 | |
5 | ⑦ | 弥勒 種子石塔婆 | アク | 弥勒菩薩 | 五道転輪王 | 第三年 | 最教 | |
6 | ⑤ | 阿弥陀 種子石塔婆 | キリーク | 阿弥陀如来 | - | - | - | 延慶四年(1311) |
7 | ⑥ | 地蔵 種子石塔婆 | イ | 地蔵菩薩 | 炎魔王 | 七七日 | - | 為尾張坊 |
8 | ⑧ | 不動 種子石塔婆 | カーン | 不動明王 | - | 相当一百日 | - | 阿経忌(四七日忌) |
極楽寺石塔婆群、県指定文化財 八基一覧(赤枠は、本石塔婆の刻銘)
極楽寺(ごくらくじ)石塔婆群 十二基
極楽寺入口、道路沿い覆屋内に集められている。
国見山(くにみさん)廃寺跡 エリア図 (現地説明板、部分)
「陸奥国 極楽寺」は、国見山一帯に栄えた古代の山岳寺院で、現在は「国見山廃寺跡」と呼ばれ、国の史跡に指定されている。
鎌倉時代には、十王堂が阿弥陀堂と共に極楽往生を願う人々の霊場になっていたという。
国見山と極楽寺文化 (現地説明板)
*JR北上駅前から岩手県交通バス 岩黒線 江刺バスセンター行きに乗車、「岩脇バス停」下車、東方向へ山道を徒歩 約31分。
(撮影:平成25年10月12日)