慈眼寺(じげんんじ)五重石塔(兵庫県加西市水谷町観音堂内)
慈眼寺石造塔婆(県指定文化財、鎌倉時代中期 弘安六年 1283年、凝灰岩、高さ 189Cm)
初層軸部正面、蓮華座上に顕教四仏の種子を薬研彫する。(バク:釈迦) | ||
五重石塔は、吸谷町観音堂の向かって左側 横手に立っている。 | 初層軸部右面、蓮華座上に顕教四仏の種子を薬研彫する(キリーク:阿弥陀) |
初 層 屋 根
軒口は厚く、屋根の下端はほぼ一直線で両端がわずかに反っている
背面、蓮華座上に顕教四仏の種子を刻む。(弥勒:「ユ」ではなく「ア」を用いる) | ||
初層軸部左面、蓮華座上に顕教四仏の種子を薬研彫する。(バイ:薬師) | 兵庫県下の在銘石塔では、弘安三年の今念寺五重石塔の次に古い。 |
基礎正面、七行にわたって銘文がある
銘文:「諸行無常、是生滅法、毎月十四日・・・、結衆戈造立之、弘安六年(1283)癸未七月十日、生滅滅已、寂滅為楽」
七行の銘文の内、前後の各二行が涅槃経の偈:「諸行無常(しょぎょうむじょう)、是生滅法(ぜしょうめっぽう)、生滅滅已(しょうめつめつい)、寂滅為楽(じゃくめついらく)」
[ 諸行は無常である。これ生滅の法である。生滅を滅しおわりて、生も滅もない寂滅を楽しみとする。]
五層部、頂部に露盤をつくる。 | ||
相輪を欠くが、鎌倉中期の在銘で、この時代の基準作として貴重 | 三層部、各層屋根の上部に、上層の軸部をつくりだす。 |
各層、屋根の下端に方形の彫りこみを入れ、下層の軸部をはめ込むという丁寧な仕事をしている。
初層軸部
四隅に円柱を刻出しているのは他に類例がなく珍しい。顕教四仏の薬師「バイ」と阿弥陀「キリーク」の位置が通常と逆になっている。
吸谷廃寺礎石(市指定文化財、白鳳時代、流紋岩)
中央に直径 62Cm 深さ 11Cmの円形刳りこみ孔を穿った塔心礎(写真:右上)や礎石が多数寄せ集められ観音堂の庭園に使われている。
長円寺(ちょうえんじ)阿弥陀三尊種子板碑 石仏と石塔-目次!
吸谷町 観音堂
五重石塔は、観音堂の境内に立っている。
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*中国ハイウェイバス(JRバス・神姫バス) 「アスティア加西バス停」、又は北条鉄道「北条駅」 下車 西方向へ徒歩 約3Km。観音堂は吸谷町公会堂の西側。
(撮影:平成21年8月7日)