塩谷（しおたに）十三仏種子板碑（Ⅲ）

　塩谷（しおたに）十三仏種子板碑（兵庫県神埼郡市川町上牛尾）

　　十三仏種子を一尊一石で刻んだ珍しい板碑で、八基が残っている。

　　　　　　　十三仏信仰の内、三年忌の本尊阿弥陀如来の種子「キリーク」と金剛界五仏を刻む板碑で、碑面に「第三年、逆修善根」の刻銘がある。

塩谷阿弥陀種子板碑（三年忌）（県指定文化財、室町時代前期、凝灰岩、高さ 119Cm 下幅 23Cm 根部幅 37cm)

頭部山形、下に額部をつくる。身部上端は、三年忌の本尊阿弥陀如来の種子「キリーク」が刻まれている。

金剛界五仏（梵字）：「バン（金剛界大日如来）・ウーン（阿閦如来）・タラーク（宝生如来）・キリーク（阿弥陀如来）・アク（不空成就如来）」

　　　　　　　十三仏信仰の内、七年忌の本尊阿閦如来の種子「ウーン」と南方修行門（五輪塔四方）の梵字を刻む板碑で、碑面に「為常念、七年忌、逆修善根」の刻銘がある。

塩谷阿閦種子板碑（七年忌）（県指定文化財、室町時代前期、凝灰岩、高さ 130Cm 下幅 15Cm 根部幅 40Cm)

頭部山形は鋭角、下に額部をつくる。身部上端は、七年忌の本尊阿閦如来の種子「ウーン」が刻まれている。

五輪塔南方修行門の梵字：「キャー・カー・ラー・バー・アー」

向かって右から「為常念」、「七年忌」、「逆修善根」と刻む。

常念の七年忌相当逆修供養碑として造立されたことがわかる。

塩谷（しおたに）阿弥陀坐像碑（中央）（室町時代前期、凝灰岩、高さ 79Cm 幅 22Cm）

参考文献：「塩谷の十三仏種子板碑群」（田岡香逸著『史迹と美術 335号』・「十三仏信仰と大阪の庚申信仰」（奥村隆彦著岩田書院）

＊JR播但線甘地駅前から市川町コミュニティバス（運行は火・金曜日の週二回2便）に乗車、「塩谷バス停」下車徒歩約5分。バス停付近に案内標識がある。


板碑群、向かって右から四基目。身部は上から、阿弥陀如来の種子「キリーク」及び金剛界五仏の種子、下端に願文を刻む。


板碑群、向かって左から四基目。身部は上から、阿閦種子「ウーン」、五輪塔南方修行門の梵字、下端に三行願文を刻む。


身部、五輪塔南方修行門の梵字		刻銘：「為常念、七年忌」


身部、金剛界五仏の種子		刻銘：「第三年」