関(せき)の古碑群(青森県西津軽郡深浦町関字栃沢)(No:11-34、後列、右から9基目)
阿弥陀三尊種子を刻む石塔婆で、脇侍の種子が珍しい。紀年銘はないが凸形の枠線から南北朝時代前期頃の造立と思われる。
関(せき)阿弥陀三尊種子自然石塔婆 (県指定史跡、南北朝時代前期、安山岩、高さ 55Cm 幅 52Cm)
自然石の表面に凸形の枠線を入れる。上方は阿弥陀三尊種子で、脇侍の二尊に地蔵種子を刻む珍しいもの。下方は造立趣旨を刻む。 |
本石塔婆は、阿弥陀三尊種子自然石塔婆(康永元年、1342年)銘)と同じ凸型の枠線があり、様式的にも近似する。また、本石塔婆群と一連のものと思われる
「北金ヶ沢薬師堂」の石塔婆群の中に、脇侍の二尊に地蔵種子を刻む文和二年(1353)銘の大日三尊石塔婆があり、本石塔婆も南北朝時代前期頃の造立と思われる。
阿弥陀三尊種子自然石塔婆(現地説明板、部分)
石塔婆 上部
凸形の枠線内上部に阿弥陀三尊の種子を刻む。
三尊種子は、上方に阿弥陀種子「キリーク」、向って右下 に地蔵種子「イー」、左下にも異なる梵字で地蔵種子「イー」を刻む。
石塔婆 下部
凸形の下方の枠内に四行の造立趣旨を刻んでいる。
刻銘:「右志者為祖母、慥意先孝善所、先批幽儀成道、正覚法界平等」
祖母の追善供養として造立された。
関(せき)の古碑群(青森県西津軽郡深浦町関字栃沢)(No:11-13 前列、右から6基目)
阿弥陀種子「キリーク」を主尊とする石塔婆で、紀年銘はない。天蓋と蓮座に特長がある。
関(せき)阿弥陀種子自然石塔婆 (県指定史跡、南北朝時代、安山岩、高さ 66Cm 幅 51Cm)
表面上方、天蓋の下 二重月輪内に阿弥陀如来の種子「キリーク」、下方は四行の罫線を引き内に造立趣旨を刻む。 |
本石塔婆群と一連の北金ヶ沢石塔婆群に、二重月輪で稚拙な天蓋を持つ康安元年(1361)銘の 胎蔵界大日種子自然石塔婆があり、本塔婆も南北朝中頃のものと思われる。
石塔婆 上部
二重の月輪内に阿弥陀如来の種子「キリーク」、その下方月輪内に蓮座、月輪の上方に天蓋を刻む。
蓮座と天蓋は、単純な線刻で、種子に比して稚拙な感がある。
石塔婆 下部
紀年銘がなく、四行の罫線内に造立趣旨を刻む。
刻銘:「右石塔大者、過去慈父悲、母第七年口、口奉訪故也」
両親の七回忌追善供養として造立されたものと思われる。
関(せき)の古碑群(自然石塔婆群)向って右端部 (県指定史跡、南北朝時代前期~室町時代前期)
写真、後列の向って右から三基目が阿弥陀三尊種子石塔婆(No:11-34)、前列の向って右端が阿弥陀種子石塔婆(No:11-13)。
関(せき)の古碑群(自然石塔婆群)現地説明板 (前列18基、後列24基、Noがついている)
関(せき)の古碑群(自然石塔婆群) (県指定史跡、南北朝時代前期~室町時代前期)
*JR五能線 「北金ヶ沢駅」下車、東南東方向へ 徒歩 約18分。
(撮影:平成25年10月15日)