関(せき)の古碑群(青森県西津軽郡深浦町関字栃沢)(No:11-14、前列、右から5基目)
金剛界五仏種子を刻む石塔婆で、紀年銘はないが南北朝時代の造立と思われる。
関(せき)金剛界五仏種子自然石塔婆 (県指定史跡、南北朝時代前期、安山岩、高さ 74.5Cm 幅 52Cm)
自然石の表面に駒形の枠線を入れる。大きい二重月輪内に金剛界五仏種子を小月輪内に刻み、大月輪の上下に天蓋・蓮座を刻む。 |
本石塔婆は、駒形(五角形)の枠線があり、また弘前市に同型の金剛界五仏種子を刻む建武三年(1336)銘石塔婆が二基ある所から、造立は南北朝時代前期と思われる。
金剛界五仏種子自然石塔婆(現地説明板、部分)
石塔婆 頂部
駒形の枠線内上部に短い瓔珞(ようらく)を垂らした天蓋(てんがい)が刻まれている。
石塔婆 中央部
各々月輪内に金剛界五仏を刻み、五仏を二重の大月輪で囲む。
五仏は、中央に金剛界大日「バーンク」、上方から時計回りに阿弥陀種子「キリーク」(西)、不空成就種子「アク」(北)
、阿閦種子「ウーン」(東)、宝生種子「タラーク」(南)で、曼荼羅の方向と同じく上が西方向で、向って右が北方向。
石塔婆 下部
駒形下方の枠内に大月輪を荘厳する蓮座が刻まれている。
※ 熊野奥照(くまのおくてる)神社金剛界五仏自然石塔婆(参考、弘前市 田町)
熊野奥照神社 金剛界五仏種子自然石塔婆 (市指定文化財、南北朝時代前期 建武三年 1336年、安山岩、高さ 75.5Cm)
各々月輪内に金剛界五仏を刻み、五仏を大月輪で囲む。蓮座の下に造立趣旨と建武三年三月十九日の紀年銘が刻まれている。
五仏は、中央に金剛界大日「バン」、上方から時計回りに阿弥陀種子「キリーク」、不空成就種子「アク」
、阿閦種子「ウーン」、宝生種子「タラーク」で、曼荼羅の方向と同じく上方が西方向で、向って右が北方向。
関(せき)の古碑群(青森県西津軽郡深浦町関字栃沢)(No:11-20 後列、左から2基目)
板碑群にあるポピュラーな形式で地蔵種子「カ」を主尊とする。紀年銘はないが南北朝時代の造立と思われる。
関(せき)地蔵種子自然石塔婆 (県指定史跡、南北朝時代、安山岩、高さ 39.5Cm 幅 32.5Cm)
自然石を荒く成形し、表面上方 月輪内に地蔵菩薩の種子「カ」、下方に「座禅儀」の「一切善悪 都莫思量」と刻む。 |
一切善悪(いっさいぜんなく) 都莫思量(ともしりょう)の出典は、「石仏偈頌辞典」(加藤政久 編著、国書刊行会)では「起信論疏筆削記第十九」としている。
石塔婆 上部
月輪内に地蔵菩薩の種子「カ」を刻む。
石塔婆 下部
紀年銘がなく、四行の罫線があるが左右の罫線上に二行の偈(げ)を刻む。
偈(げ):「一切善悪(いっさいぜんなく) 都莫思量(ともしりょう)」
[ 一切の善悪は、すべて思いはかることなかれ。]
関(せき)の古碑群(自然石塔婆群)向って右側部 (県指定史跡、南北朝時代前期~室町時代前期)
写真、前列の向って左から三基目が金剛界五仏種子石塔婆(No:11-14)。
関(せき)の古碑群(自然石塔婆群)現地説明板 (前列18基、後列24基、Noがついている)
関(せき)の古碑群(自然石塔婆群) (県指定史跡、南北朝時代前期~室町時代前期、安山岩、高さ 39.5~107.5Cm)
写真、後列の向って左から二基目が地蔵種子石塔婆(No:11-2)。
*JR五能線 「北金ヶ沢駅」下車、東南東方向へ 徒歩 約18分。
(撮影:平成25年10月15日)