さいたま市立浦和博物館(埼玉県さいたま市緑区三室2458)
阿弥陀三尊種子の上下を天蓋と一対の華瓶(けびょう)で荘厳する。鎌倉時代末期 正中二年(1325)の紀年銘がある。
浦和(うらわ)博物館 阿弥陀三尊種子板碑(市指定文化財、鎌倉時代後期 正中二年 1325年、緑泥片岩)
浦和博物館に展示されている。身部は、上方に阿弥陀三尊の種子を蓮座上に、下方に一対の花瓶、阿弥陀種子の下 中央に紀年銘を刻む。
板碑 頭部
頭部 山形、下に二段の切込、身部は一重線の輪郭を巻く。
天蓋(てんがい)
豪華な瓔珞(ようらく)を垂らした天蓋で、左右の先端は蕨手(わらびて)状の蓮華、中央頂上に宝珠を飾る。
天蓋は、仏・菩薩などの上にかざす笠が変化したもので、主尊を荘厳するパーツとなっている。
古い例としては、寿命院建長三年銘阿弥陀種子板碑や乗蔵院建長五年銘阿弥陀種子板碑がある。
身部上方、蓮座上に「阿弥陀三尊」の種子を刻む | 身部下方 |
阿弥陀三尊種子は、上方に阿弥陀如来の種子「キリーク」、向って右下 に観音菩薩の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を刻む。
三尊とも月輪なしに、蓮座上に刻まれている。
下方の刻銘は、中央に「正中二年(1325)、乙丑、十月六日」、左右に一対の「花瓶」が刻まれている。
花瓶 (けびょう)
仏前に花を供えるための壺で、ここでは左右対称に一対、蓮華も含め写実的に表現されている。
古い例に、不動寺康元二年(1257)銘 阿弥陀種子板碑がある。
刻銘:「正中二年(1325)、乙丑、十月六日」 | 花瓶は、胴が張り帯線を表現。蓮華は写実的で、鎌倉時代後期の形状。 |
浦和博物館、私年号板碑と勢至図像月待板碑(双式) (市指定文化財、室町時代中期)
さいたま市立 浦和博物館
*JR京浜東北線「北浦和駅東口」から東武バス「市立病院」行きに乗車、終点「市立病院バス停」下車、南側へすぐ。
(撮影:平成25年3月9日)