能勢町の石造美術(8) 野間中 地蔵一尊種子板碑

 野間中(のまなか)地蔵一尊種子板碑(大阪府豊能郡能勢町野間中)

  この地は、往古より能勢街道と三田街道が交差し、妙見信仰による人の往来が多かった

地蔵一尊種子板碑(町指定文化財、南北朝時代初期 暦応四年 1341年、、高さ 170Cm 幅 130Cm)

現地説明板

上段に大きく地蔵の種子「カ」(高さ33.5Cm 幅19.5Cm)を刷毛書にして薬研彫りし、その下に銘文を刻む

  

板碑は、法界衆生の平等利益のため暦応四年(1341)の地蔵の縁日(二十四日)に彫られた

銘文:「右志者為法界衆生、平等利益也、暦応四年(1341)歳次辛巳二月廿四日、願主 僧祐尊」

銘文の願主祐尊(ゆうそん)は野間家から出た人で、今川寺に住む僧侶。作者は伊野行恒かその直系の石大工といわれている

阿弥陀・六地蔵磨崖仏

  阿弥陀・六地蔵磨崖仏(大阪府豊能郡能勢町野間中)

阿弥陀・六地蔵磨崖仏(室町時代後期 永禄7年 1564年、花崗岩、地上高 150Cm)

左端、舟形を彫りくぼめ像高10.5Cmの阿弥陀坐像を半肉彫りする 阿弥陀(手前)と六地蔵の対は、能勢地方の地方色

左端に阿弥陀坐像、右側の横一列六体は六地蔵立像

地蔵の顔の右横に、法名が刻まれ、阿弥陀と地蔵の間に「永禄七年(1564)口月日」の紀年銘が刻まれている

金剛界大日・弥陀三尊種子板碑

  金剛界大日・弥陀三尊種子板碑(大阪府豊能郡能勢町)

金剛界大日・弥陀三尊種子板碑(南北朝時代、自然石高さ 181.5Cm)、地蔵橋の板碑と呼ばれているもの

上部に、金剛界大日如来の種子「バン」、下に阿弥陀三尊の種子「キリーク(阿弥陀如来)」・「サク(勢至菩薩)」・「サ(観音菩薩)」を蓮華座上月輪内に刻む

大日の密教と阿弥陀の浄土教が混じった珍しい遺品

能勢の畑に咲く向日葵(ひまわり)

野間中(のまなか)地蔵石仏

  野間中(のまなか)地蔵石仏(大阪府豊能郡能勢町野間中)

野間中(のまなか)地蔵石仏(南北朝時代初期 暦応四年 1341年、花崗岩、高さ 90Cm 像高 38.5Cm)

縦長の彫りくぼめをつくり、蓮華座上地蔵立像を厚肉彫りする。周辺に三字、月輪内種子を刻む(種子名は、欠損し不明)

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地蔵刻銘:「蔵佛、等利益也、孝子、妙弥青蓮、妙弥浄忍、年、歳次、辛巳、三月四日、孝子妙弥覚妙」

 板碑(いたび)                                石  仏-紀年順-目次

*野間口種子板碑は能勢電鉄 妙見口駅から阪急バスに乗車「本滝口バス停」下車徒歩 2分、阿弥陀・地蔵磨崖仏は板碑より東方向へ 約300m、地蔵石仏は「本滝口バス停」(妙見口方面行き)横。

(撮影:平成19年9月29日、平成21年6月16日)