黒田神社(くろだじんじゃ)石燈籠

 黒田神社(くろだじんじゃ)(大阪府藤井寺市北條町1-23)

  四角型燈籠全盛の南北朝時代中期 建徳三年(1372)の作品。竿(さお)に長文の銘文があり、史料としても優れている。

黒田神社(くろだじんじゃ)石灯籠 (市指定文化財、南北朝時代中期 建徳三年 1372年、花崗岩、高さ 208Cm)

頂部、宝珠と請花は一石からなり、請花は単弁の蓮弁を刻む。
四角型石燈籠は、白壁で囲まれた社殿の敷地内、西側に立つ。 火袋、四面とも火口とする。

笠の軒は薄く、水平にのび、両端で緩く反らせる。屋根は、桧皮葺状の作り出しを設ける。

屋根はわずかに照りむくり(曲面で上方が起こり、下方が下反り)があり、下端に薄い二段の垂木形をつくりだす。

火 袋

火袋は、火口四面で、上区は二区横連子、下区は二区斜十字とする。

中 台

中台は、上端が複弁反花、側面は三区に分け花菱文を陽刻し、下端は単弁の蓮弁を刻出する。

竿(さお)は四角柱で、四面に亘る刻銘があり、正面に南朝年号の「建徳三年(1372)の紀年銘を刻む。(上記、竿の写真は左面)

四角型石燈籠は、鎌倉時代後期からつくられ紀年銘があるものでは橿原市の浄国寺石燈籠を最古とする。また、名品として春日大社元亨石燈籠が良く知られている。

基 礎

基礎上端は複弁反花、側面は二区に分け、それぞれ格狭間をつくる。

正面、の刻銘 刻銘:建徳三年(1372)

竿(さお)正面の刻銘

刻銘:「奉造立志紀宮・・・・・・・・・・・・」、「願主、南無・・・・・・・、太子方・・・・・・・・・」、「建徳三年(1372)、壬子、三月日」

④.背面 ③.右側 ②.左側 ①.正面

竿(さお)の刻銘(拝殿に展示の拓本)

①.正面:「奉造立志紀宮・・・・・・・・・・・・」、「願主、南無・・・・・・・、太子万・・・・・・・・・」、「建徳三年(1372)、壬子、三月日」

②.左側:「奉寄進志紀宮不断如法經料田押・・」、「合」、「星田里廿坪、自西、二長、宣人者・・御霊為往生極楽蓮蔵」、

「樋爪里四坪、自北、一長、宣人者為二親御霊往生極楽社僧円観」、「百、自、口里卅坪、自北二、三長、宣人者口為二親往生極楽・・」

③.右側:「并甲乙人寄事於左右口為一幅一銭押領・・」、「定置規式事」、「於三年口相稼不可・・・・」、「能々可相守此方口事・・・・」

、「不行之状如件」口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口

④.背面:「垂水里七坪宣人者為自身滅罪生善往生極楽尼聖口口口」、「往生極楽尼聖口口口」、「澁河郡衣摺里十四坪、自西、一長

宣人者為二親并自身口口口口入道口」、「惣為有縁無縁法界衆生往生極楽也・・、敬白」、「右奉寄進於如法經田者口為・・長・・」

「為厳重如法料田之・・親類・・爾・・」(「大阪金石志」(天岸 正男・奥村 隆彦 共著より)口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口

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黒田神社(くろだじんじゃ)拝殿

黒田神社は、「延喜式」に掲載されている式内社。しかし、由来については不明という。

 石燈籠(いしどうろう)

*近鉄 南大阪線 「土師ノ里駅」下車、北北東方向へ約1000m。

(撮影:平成26年10月25日)