東大谷日女神社 石燈籠

 東大谷日女(ひがしおおたにひめ)神社(奈良県桜井市山田989)

  石燈籠は、伊派 石大工 井行長(いのゆきなが) 永和元年(1375)の作で、行長らしい繊細な彫りが見られる。

東大谷日女神社 石燈籠(重要文化財、南北朝時代後期 永和元年 1375年、花崗岩、高さ 204Cm)

請花・宝珠、単弁の請花上に、形の良い宝珠を載せる。
四角型の石燈籠は、拝殿に向かって右手横に立っている。 火袋、火口は二面で、上区は二区横連子、下区は二区斜十字。

笠の軒は薄く、水平にのび、両端で反らせ、屋根に桧皮葺状の作り出しを設ける。軒裏に二段の垂木型をつくる(笠幅 76Cm)

火袋の壁面二面は、上区二区横連子、中区は蓮華座上に月輪を薄肉彫りし、下区は二区斜十字を刻む。行長らしい繊細な彫りが見られる。

火袋 壁面

石燈籠は、伊派石大工 井行長(いのゆきなが)永和元年(1375))の作品で、行長の作品では 他に鳳閣寺石造宝塔(1369)がある

中 台

中台は、上端に二段の請座、側面は三区に分け花菱文を陽刻し、下端は単弁の蓮弁を刻出する

竿の正面上方に四言八句の賛文、下部に勧進・紀年銘・石大工の名を刻む(刻銘は下記)。複弁基礎と単弁中台の対比が洒落ている

竿 上方刻銘:「善哉灯爐(ぜんざいとうろ)、帰功於本(きくおほん)、無間湮滅(むげんえんめつ)、願我一念(がんがいちねん)

[ 善きかな、灯籠。功徳は、縁による一切の業を、ただちに消さんことを、我が一念に願う ]

「微妙光明、施徳於霊、有漏水晴、利他衆生」

竿 下方刻銘:「勧進 行念、永和元年(1375)乙卯八月一日造立之、大工 行長」

竿の下端、左端に「大工 行長」、右端に「勧進 行念」の刻銘

基礎

基礎側面は無地で、上に複弁反花、上端は一段方形の請座

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東大谷日女神社 拝殿

 石燈籠(いしどうろう)

*近鉄大阪線 橿原神宮前駅東口から奈良交通バス 飛鳥資料館方面行きに乗車、「飛鳥資料館バス停」下車 東方向へ 約9分。東大谷日女神社の東は、「やまと」と読まれているらしいが、ここでは「日本石造美術事典」(川勝政太郎著、東京堂出版)の「ひがし」を引用した。

(撮影:平成21年6月9日)