鹿嶋神社(かしまじんじゃ)(宮城県大崎市古川引田字鹿島89)
阿弥陀三尊を主尊とする板碑で、当地では初期板碑に属する鎌倉時代中期 弘安元年(1278)の紀年銘がある。
鹿嶋(かしま)神社 阿弥陀三尊種子板碑 (鎌倉時代中期 弘安元年 1278年、粘板岩、高さ 212Cm 幅 68Cm)
境内に立つ板碑群中、最大最古。身部は、上方に阿弥陀三尊種子、その下に往生要集に出る偈、下方に紀年銘 他を刻む。 |
本 阿弥陀三尊種子板碑は、天寿庵から直線距離で約400mの近くにあり、天寿庵阿弥陀三尊種子板碑より九か月早い時期に造立されている。しかも、主
尊を同じくし、碑に刻まれた偈頌(げじゅ)も同じ往生要集に出る「極重悪人」の偈を刻んでいる。もちろん石材は「井内石(稲井石)」(粘板岩)を使用する。
また、天寿庵弘安二年碑の背面が整形されていないのに比べ、本板碑は上下の厚さが、ほぼ均一になるよう加工されているのも興味深い。口口口口口・
板碑、頭部
頭部を欠損する。残っていれば、天寿庵弘安二年碑と比較できるのだが。
身部上方、阿弥陀三尊の種子を刻む。 | 身部下方 |
三尊種子は、上方に阿弥陀如来の種子「キリーク」、向って右下 に観音菩薩の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を蓮座なしに刻む。
身部下方の刻銘は二段に分け、上方に「往生要集に出る偈(げ)」、下方中央に「弘安元年(1278)八月廿日、孝子、敬白」と刻む。
往生要集に出る偈(げ)
偈(げ):「極重悪人(ごくじゅうあくにん)、無他方便(むたほうべん)、唯称念仏(ゆいしょうねんぶつ)、得生極楽(とくしょうごくらく)」
[ 極重悪人には他の方便(てだて)なし、ただ念仏をとなえれば、極楽に生まれることができる。]
石塔婆、最下部
根部はなく、中央に「弘安元年(1278)八月廿日、孝子、敬白」と刻む。
[ 子息により、追善供養碑として造立されている。]
鹿嶋神社 板碑群
鹿嶋(かしま)神社 金剛界大日種子石塔婆 石仏と石塔-目次!
鹿嶋神社 (かしまじんじゃ)
*JR陸羽東線 古川駅前からミヤコーバス高倉線 中新田行きに乗車、「堀込バス停」下車、北東方向へ 約500m。
(撮影:平成26年4月15日)