山口家(やまぐちけ)石塔婆群 (宮城県石巻市東福田字馬場)
道範禅門 百ケ日忌のため造立された石塔婆で、私年号 福寿元年(1462)を刻んでいる。
山口家 観音種子石塔婆 (室町時代中期 福寿元年 1462年、粘板岩、高さ 76Cm 幅 19Cm 厚さ 6Cm) |
石塔婆は、上方に観音種子、その下に金剛般若経に出る偈(げ)、下方は造立趣旨と私年号 福寿元年(1462)の紀年銘を刻む。
身部 上方
百ケ日忌の本尊 観音菩薩の種子「サ」を刻む。
金剛般若経に出る偈(げ)
偈(げ):「是法(ぜほう)、平ホ(等)(びょうどう)、无有(むう)、高下(こうげ)」
[ この法は平等にして、高下あることなし。 ] (法のもとに如来も衆生もない。)
身部 下方、刻銘
刻銘は四行で、向かって右から「福寿元天(1462)、三月三日、道範禅門、百ケ日」と刻む。
福寿元天のの私年号については、当石塔婆群に「寛正三年(1462)三月三日」銘の道範禅門 一周忌碑があり、その造立趣旨に「当地を訪
問した際に造立した(訪問砌也)」と刻まれている。よって、道範の死去は前年の寛正二年三月三日で、百ケ日は同年六月十四日になる。
その為、本石塔婆の天寿元年三月三日は、百ケ日相当日ではなく、造立された日を指し、一周忌の石塔婆と二基同時に造立されたと思わ
れる。要するに、天寿元年の私年号は、寛正三年(1462)に相当する。(「北上川下流域のいしぶみ」発行、河北地区教育委員会 の要約)口
刻銘:「福寿元天(1462)」
山口家(やまぐちけ)石塔婆群 (宮城県石巻市東福田字馬場)
道範禅門 一周忌に造立されたもので、室町時代中期 寛正三年(1462)の紀年銘がある。
山口家 観音種子石塔婆 (室町時代中期 寛正三年 1462年、粘板岩、高さ 71Cm 幅 24Cm 厚さ 7Cm) |
石塔婆は、上方に一周忌の本尊 勢至種子「サク」、下方は造立趣旨と寛正三年(1462)の紀年銘を刻む。
身部 上方
一周忌の本尊 勢至菩薩の種子「サク」を刻む。
身部 下方、刻銘
刻銘は、中央に「右志者 寛正三年(1462)三月、三日」、左右に各二行
「相當道範禅門一周忌、彼石塔婆一本造立」、「訪問砌(みぎり)也 乃至法界、平等利益故也 孝子敬白」 と刻む。
室町時代中期 寛正三年(1462)三月三日、当地を訪問した折に、道範禅門 一周忌として本石塔婆を造立した。
尚、当石塔婆群には、私年号 福寿元年銘の道範禅門 百ケ日忌の石塔婆がある。
刻銘:「寛正三年(1462)」
山口家(やまぐちけ)石塔婆群 (部分)
中央は、私年号 福寿元年銘 観音種子石塔婆。
*JR石巻駅からミヤコ―バス石巻専修大学線 飯野川行きに乗車、福田バス停下車、南東方向へ徒歩 約1.2Km。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。
(撮影:平成26年4月12日)