山口家(やまぐちけ)虚空蔵種子石塔婆

 山口家(やまぐちけ)石塔婆群 (宮城県石巻市東福田字馬場)

   虚空蔵菩薩の種子「タラーク」を主尊とする石塔婆で、室町時代前期 応永年間(1394~1428)の紀年銘がある。

山口家 虚空蔵種子石塔婆 (室町時代前期 応永年間 1394~1428年、粘板岩、高さ 118Cm 幅 32Cm 厚さ 7Cm)

石塔婆は、上方に虚空蔵種子、その下に法華経 譬喩品に出る偈(げ)、下方は造立趣旨と紀年銘を刻む。刻銘部は、風化・摩耗が進んでいる。

身部 上方

虚空蔵菩薩の種子「タラーク」を月輪内に薬研彫する。

虚空蔵は、十三仏忌日供養では三十三回忌の本尊。

法華経 譬喩品に出る偈(げ)

偈(げ):「今此三界(こんしさんがい)、皆是我有(かいぜがう)、其中衆生(ごちゅうしゅじょう)、悉是吾子(しつぜごし)

[ 今、この三界(欲界・色界・無色界)はみなこれ我が有するところ、その中の衆生はことごとく我が子なり ]

尚、造立趣旨と紀年銘は、ほぼ地中に埋まっている。

地中の刻銘は三行で、中央に右志趣者為 應永口年(1394~1428)二月廿五日、孝子、敬白

左右に「慈父幽霊三十口辰、乃至法界平等利益故也」と刻まれている。

山口家(やまぐちけ)石塔婆(断碑)

 山口家(やまぐちけ)石塔婆群 (宮城県石巻市東福田字馬場)

   名心禅尼 七年忌に造立されたもので、上半が欠失、年号も剥離するが、法華経 方便品に出る偈(げ)が刻まれている。

      山口家(やまぐちけ) 石塔婆(断碑) (紀年不明、粘板岩、高さ 120Cm 幅 28Cm 厚さ 9Cm)      

石塔婆は、上方の種子部を欠損する。下方の刻銘部が残り、法華経 方便品に出る偈(げ)と造立趣旨・紀年銘を刻むが、年号など一部剥離する。

法華経 方便品に出る偈(げ)

偈(げ):「十方仏土中(じっぽうぶつどちゅう)、唯有一乗法(ゆいういちじょうほう)、無二亦無三(むにやくむさん)、除仏方便説(じょぶつほうべんせつ)

[ 十方の仏土の中には、ただ一乗の法のみあり、二もなく三もなし、仏の方便の説を除く ]

身部 下方、刻銘

刻銘は四行で、向かって右から「右志者為名心禅尼七年」、「乃至法界平等利益也」、

「・・三年二月廿三日、施主、敬白と刻む。

名心禅尼 七年忌に本石塔婆が造立されている。残念ながら、年号の部分が剥離し、時代がはっきりしない。

山口家(やまぐちけ)地蔵種子石塔婆

 山口家(やまぐちけ)石塔婆群 (宮城県石巻市東福田字馬場)

   地蔵種子「カ」を主尊とする石塔婆で、法華経 安楽行品に出る偈(げ)を刻んでいる。

    山口家(やまぐちけ) 地蔵種子石塔婆(紀年不明、粘板岩、高さ 80Cm 幅 18Cm 厚さ 8Cm)    

石塔婆は頭部の一部を欠損する。身部は、上方に地蔵種子「カ」、下方は法華経 安楽行品に出る偈(げ)を刻む。

身部 上方

地蔵菩薩の種子「カ」を刻む。

地蔵菩薩は、十三仏忌日供養では三十五日(五七日)忌の本尊。

法華経 安楽行品に出る偈

偈(げ):「深入禅定(じんにゅうぜんじょう)、見十方佛(けんじっぽうぶつ)

[ 深く禅定に入りて、十方の仏を見たてまつる。 ]

 山口家(やまぐちけ)金剛界大日種子石塔婆 (宮城県石巻市東福田字馬場)

   金剛界大日種子「バン」を主尊とする。紀年は不明。

山口家(やまぐちけ) 金剛界大日種子石塔婆(紀年不明、粘板岩、高さ 77Cm 幅 21Cm 厚さ 7Cm)

石塔婆は、上方に金剛界大日如来の種子「バン」、下方は「・・・・」、「・・・・」、「能安楽説」

その下に「妙仙禅尼」の刻銘がある。

 山口家(やまぐちけ)薬師種子石塔婆 (宮城県石巻市東福田字馬場)

   山口家(やまぐちけ) 薬師種子石塔婆(紀年不明、粘板岩、高さ 80Cm 幅 28Cm 厚さ 4Cm)   

石塔婆は、上方に薬師如来の種子「バイ」を刻む。下方は不明。

※ 山口家(やまぐちけ)石塔婆群 一覧

 八幡神社(はちまんじんじゃ)九仏種子石塔婆                   石仏と石塔-目次!

 山口家(やまぐちけ)地蔵種子石塔婆 (宮城県石巻市東福田字馬場)

山口家(やまぐちけ) 地蔵種子石塔婆(紀年不明、粘板岩、高さ 86Cm 幅 25Cm 厚さ 6Cm)

石塔婆は三十五日忌に造立されたもので、上方にその本尊 地蔵種子「カ」、下方は造立趣旨と紀年銘を刻む。

刻銘:「右志・・・・・沙弥五七日之忌辰」、「・・八年、乙口、・・・・・・

 板碑(いたび)

*JR石巻駅からミヤコ―バス石巻専修大学線 飯野川行きに乗車、福田バス停下車、南東方向へ徒歩 約1.2Km。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。

(撮影:平成26年4月12日)