山口家(やまぐちけ)文殊種子石塔婆

 山口家(やまぐちけ)石塔婆群 (宮城県石巻市東福田字馬場)

   昌儀禅門 十七年忌に造立された石塔婆で、文殊種子「マン」を主尊としている。室町時代前期 永享二年(1430)の在銘。

山口家 文殊種子石塔婆 (室町時代前期 永享二年 1430年、粘板岩、高さ 103Cm 幅 30Cm 厚さ 11Cm)

石塔婆は、上方に文殊(もんじゅ)種子、その下に金光明経巻第二に出る偈(げ)、下方は十七年忌の造立趣旨と紀年銘を刻む。

身部 上方

文殊(もんじゅ)菩薩の種子「マン」を薬研彫する。

金光明経巻第二に出る偈(げ)

偈(げ):「佛身法身(ぶっしんほっしん)、猶如虚空、応物現形 、如水中月

[ 仏身と法身とは、なお虚空の如く、機縁に応じて形を現(あらわ)すこと、水中に現れる月の如し。 ]

(仏身:仏陀の身体。    法身:真理そのもの仏陀の本体、色も形もない永遠不滅の真実の当体。

虚空:何も妨げるものがなく、すべてのものの存在する場所としての空間。)

身部 下方、刻銘 刻銘:永享二年(1430)

刻銘は中央に「右志口為 昌儀禅門十七年忌遠忌辰、孝子、敬白」、

左右の上部に「乃至法界、平ホ(等)利益」、下部の左右に「永享二年(1430)九月廿四日と刻む。

室町時代前期 永享二年(1430)九月二十四日、昌儀禅門 十七年忌碑として造立された。

尚、昌儀禅門 十三回忌碑も本石塔婆群に立っている。

刻銘:昌儀禅門十七年忌遠忌

山口家(やまぐちけ)観自在種子石塔婆

 山口家(やまぐちけ)石塔婆群 (宮城県石巻市東福田字馬場)

   百ケ日忌に造立された石塔婆で、観自在菩薩の種子「ソ」を刻んでいる。室町時代前期 永享二年(1430)の在銘。

山口家 観自在種子石塔婆(室町時代前期 永享二年 1430年、粘板岩、高さ 84Cm 幅 29Cm 厚さ 6Cm)

石塔婆は、上方に観自在種子「ソ」、その下に金光明経巻第二に出る偈(げ)、下方は百ケ日忌の造立趣旨と紀年銘を刻む。

身部 上方

百ケ日忌の本尊 観自在菩薩の種子「ソ」を刻む。

観音菩薩の正式の名称は「観世音」と「観自在」の二種類があり、観世音は「世間の様々な声を感じる」という鳩摩羅什三蔵

の旧約、観自在は「感じることが自在である」という玄奘三蔵の新訳である。(「十三仏の世界」 渡会瑞顕 編、ノンブル社)

金光明経巻第二に出る偈(げ)

偈(げ):「佛身法身(ぶっしんほっしん)、猶如虚空、応物現形 、如水中月

[ 仏身と法身とは、なお虚空の如く、機縁に応じて形を現(あらわ)すこと、水中に現れる月の如し。 ]

(仏身:仏陀の身体。    法身:真理そのもの仏陀の本体、色も形もない永遠不滅の真実の当体。

虚空:何も妨げるものがなく、すべてのものの存在する場所としての空間。)

尚、造立趣旨と紀年銘は、ほぼ地中に埋まっている。

地中の刻銘は四行で、右から「妙教禅尼百ケ日」、「右志者為」、

永享二年(1430)、庚戌、孝子、敬白「乃至法界衆生平等利益故也」と刻まれている。

室町時代前期 永享二年(1430)、妙教禅尼 百ケ日忌碑として造立された。

※ 山口家(やまぐちけ)石塔婆群 一覧

 山口家(やまぐちけ)虚空蔵種子石塔婆                    石仏と石塔-目次!

山口家(やまぐちけ)石塔婆群 (部分)

中央は、文殊種子石塔婆(永享二年 1430年)。

 板碑(いたび)

*JR石巻駅からミヤコ―バス石巻専修大学線 飯野川行きに乗車、福田バス停下車、南東方向へ徒歩 約1.2Km。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。

(撮影:平成26年4月12日)