山口家(やまぐちけ)石塔婆群 (宮城県石巻市東福田字馬場)
十七年忌に造立された石塔婆で、阿閦(あしゅく)種子を主尊としている。室町時代前期 応永二十二年(1415)の在銘。
山口家 阿閦種子石塔婆 (室町時代前期 応永二十二年 1415年、粘板岩、高さ 122Cm 幅 40Cm 厚さ 6Cm) |
頭部平行。身部は、上方に阿閦(あしゅく)種子、下方は十七年忌の造立趣旨と紀年銘を刻む。
身部 上方
阿閦(あしゅく)如来の種子「ウーン」を薬研彫する。
身部 下方、刻銘 | 十七年忌は珍しいが、この地方では、まま見られる。 |
刻銘は、中央に「右志者為 應永廿二年(1415)、乙未、十一月廿八日、孝子、敬白」、
左右に「奉為聖妙禅尼十七年忌辰、乃至法界衆生平等利益也」と刻む。
室町時代前期 応永二十二年(1415)十一月二十八日、聖妙禅尼 十七年忌碑として造立された。
刻銘:「應永廿二年(1415)、乙未、十一月」 | 刻銘:「聖妙禅尼十七年忌」 |
山口家(やまぐちけ)石塔婆群 (宮城県石巻市東福田字馬場)
昌儀禅門 十三回忌に造立された石塔婆で、虚空蔵種子を刻んでいる。室町時代前期 応永三十三年(1426)の在銘。
山口家 虚空蔵種子石塔婆(室町時代前期 応永三十三年 1426年、粘板岩、高さ 137Cm 幅 36Cm 厚さ 8Cm) |
頂部の一部を損傷する。身部は上方に虚空蔵種子、その下に法華経 方便品に出る偈(げ)、下方は十三回忌の造立趣旨と紀年銘を刻む。
身部 上方
虚空蔵菩薩の種子「タラーク」を薬研彫する。
十三仏供養では、十三回忌は「大日如来」だが、三十三回忌の本尊 虚空蔵菩薩の種子が刻まれている。
法華経 方便品に出る偈(げ)
偈(げ):「十方仏土中(じっぽうぶつどちゅう)、唯有一乗法(ゆいういちじょうほう)、無二亦無三(むにやくむさん)、除仏方便説(じょぶつほうべんせつ)」
[ 十方の仏土の中には、ただ一乗の法のみあり、二もなく三もなし、仏の方便の説を除く ]
身部 下方、刻銘
刻銘は、中央に「應永卅三(1426)九月廿五日」、左右に「右志為者昌儀禅門、十三回之辰故也」と刻む。
室町時代前期 応永三十三年(1426)九月二十五日、昌儀禅門十三回忌碑として造立された。
尚、昌儀禅門 十七回忌碑も本石塔婆群に立っている。
刻銘:「應永卅三年(1426)九月」 | 十三回忌碑に、虚空蔵種子が刻まれるのは珍しい。 |
山口家(やまぐちけ)石塔婆群 (部分)
中央、向かって右が応永二十二年銘 阿閦種子石塔婆、左が応永三十三年銘 虚空蔵種子石塔婆。
*JR石巻駅からミヤコ―バス石巻専修大学線 飯野川行きに乗車、福田バス停下車、南東方向へ徒歩 約1.2Km。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。
(撮影:平成26年4月12日)