寺崎(てらさき)石塔婆群 (宮城県石巻市大瓜字寺崎)
「栄海阿闍梨」三十三回忌の石塔婆で室町時代中期 明応五年(1496)の造立。尚、七回忌の石塔婆も本石塔婆群にある。
寺崎 虚空蔵種子石塔婆(室町時代中期 明応五年 1496年、粘板岩、高さ 108Cm 幅 33Cm 厚さ 8Cm) |
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種子部を損傷するが、三十三回忌の本尊 虚空蔵と思われる。種子の下に梵字光明真言、身部下方に願文と紀年銘を刻む。 |
身部 上方
虚空蔵菩薩の種子「タラーク」を刻む。
忌日供養が定型化すると、三十三回忌の本尊は虚空蔵種子「タラーク」となる。
光明真言 (梵字)
種子の下に四行で刻まれている。
光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ」、「シャナ、マ、カーボ、ダラ」、「マ、ニ、ハンドマ、ジンバ、ラ」、「ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン、ダ」
石塔婆 下部、刻銘
下部の刻銘は、中央に「為 榮海阿闍梨卅三回菩提也」、
向って右側に「乃至法界平等普潤」、左側に「明應五年(1496)、丙辰、六月十四日、孝子、敬白」と刻む。
七回忌から二十六年後の同日(明応五年(1496)六月十四日) 栄海阿闍梨 三十三回忌に、子等により本石塔婆が造立された。
刻銘:「明應五年(1496)、丙辰、六月」 | 刻銘:「榮海阿闍梨卅三回菩提」 |
寺崎(てらさき)石塔婆群 (宮城県石巻市大瓜字寺崎)
忌日供養では例のない「二十一ヶ年」を刻む石塔婆で、室町時代中期 長享二年(1488)の紀年銘がある。
寺崎(てらさき)二十一ケ年(忌)石塔婆 (室町時代中期 長享二年 1488年、粘板岩、高さ 50Cm 幅 20Cm 厚さ 5Cm)
石塔婆は、上部を欠失する。全体に摩耗が進んでいる。身部は、下方の刻銘部だけが残り、造立趣旨と紀年銘が読める。
刻銘は、中央に「道円禅門廿一ヶ年」、両側に「長享二年(1488)、十二月三日」と刻む。
刻銘(部分)
刻銘:「廿一ヶ年」
「二十一年」は、忌日供養では、例がない。
寺崎(てらさき)石塔婆群 (宮城県石巻市大瓜字寺崎)
妙春大姉 三回忌の供養碑。紀年銘はあるが、不明。
寺崎(てらさき)阿弥陀種子石塔婆(紀年不明、粘板岩、高さ 46Cm 幅 20Cm 厚さ 10Cm) |
石塔婆は頭部を損傷する。身部は、上方に三回忌の本尊 阿弥陀如来の種子「キリーク」、下方は造立趣旨と紀年銘を刻む。
身部 上方
阿弥陀如来の種子「キリーク」を薬研彫する。
石塔婆 下部、刻銘 | 刻銘:「妙春大姉第三、年忌」 |
下部の刻銘は、中央に「右志者妙春大姉第三、年忌」、両側に「應 口、二月廿三日」と刻む。
*JR石巻駅から北東方向へ 約3.7Km。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。住所でいえば、石巻市大瓜字寺崎90くらいの所で、道路沿いに立っている。当地域は、地元住民を対象にした乗合タクシーがあるだけで、バスの便はない。
(撮影:平成26年4月12日)