寺崎(てらさき)石塔婆群 (宮城県石巻市大瓜字寺崎)
妙孝禅尼の一周忌碑で本尊 勢至種子の下に梵字で名号を刻む。本石塔婆群の中で、一番新しい室町時代中期 明応十年(1501)の造立。
寺崎(てらさき)勢至種子石塔婆 (室町時代中期 明応十年 1501年、粘板岩、高さ 104Cm 幅 35Cm 厚さ 15Cm)
石塔婆は、上方に一周忌の本尊 勢至種子、その下に梵字で「ナ、ム、ア、ミ、ダ、ブツ」の名号、下方に造立趣旨と紀年銘を刻む。 |
身部 上方
一周忌の本尊 勢至菩薩の種子「サク」を薬研彫する。
六字名号 (梵字)
種子の下に刻まれている。
名号(梵字):「ナ、ム、ア、ミ、ダ、ブツ」
石塔婆 下部、刻銘
下部の刻銘は、中央に「右志者為」、
向って右側に「相当妙孝禅尼一周忌、追善口故也」、左側に「明應十年(1501)四月廿六日」と刻む。
室町時代中期 明応十年(1501)四月二十六日 妙孝禅尼一周忌の追善供養にあたり、本石塔婆が造立された。
尚、年号の明応十年は二月二十八日迄で、刻銘にある四月二十六日は改元され「文亀元年」となる。
刻銘:「明應十年(1501)四月」 | 刻銘:「妙孝禅尼一周忌」 |
寺崎(てらさき)石塔婆群 (宮城県石巻市大瓜字寺崎)
主尊種子「アン」の下に五輪(五大)の梵字の内、発心門と涅槃門を刻む石塔婆で、紀年銘はない。
寺崎(てらさき)胎蔵界大日種子石塔婆 (紀年銘なし、粘板岩、高さ 72Cm 幅 20Cm 厚さ 6.5Cm) |
石塔婆は、上方に胎蔵界大日種子「アン」、その下に五輪 四門梵字の内 東方 発心門、北方 涅槃門の梵字、下方に「道法禅門」の名を刻む。
身部 上方
胎蔵界大日如来の種子「アン」を薬研彫する。
尚、胎蔵界大日種子は通常「ア」であらわす。
石塔婆 下部、刻銘 | 五輪 四門の梵字 (発心門、涅槃門) |
下部の刻銘は、中央に二行 梵字で、「キャ・カ・ラ・バ・ア(東方、発心門)」、「キャク・カク・ラク・バク・アク(北方、涅槃門)」
と五輪 四門の梵字の東方 発心門と北方 涅槃門の梵字、下方に「道法禅門」と刻む。
寺崎(てらさき)石塔婆群 (宮城県石巻市大瓜字寺崎)
妙用禅尼 十七回忌の供養碑。尚、十三仏の忌日(年)供養には、十七回忌はない。
寺崎(てらさき)金剛界大日種子石塔婆 (紀年銘なし、粘板岩、高さ 66Cm 幅 13Cm 厚さ 8Cm)
頭部は山形風。上方に金剛界大日如来の種子「バン」、下方は十七年忌の造立趣旨を刻む。紀年銘は不明。
身部 上方
金剛界大日如来の種子「バン」を薬研彫する。
尚、現在では十七回忌の本尊は「ア(胎蔵界大日種子」が用いられているようだ。
石塔婆 下部、刻銘
下部の刻銘は、中央に「為妙用禅尼十七年忌」、向って右に「法界平等利益也」と刻む。
寺崎(てらさき)石塔婆群
中世の石塔婆が約32基。紀年銘のあるものは鎌倉後期が1基、あとは南北朝時代から室町時代中期のもの。
*JR石巻駅から北東方向へ 約3.7Km。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。住所でいえば、石巻市大瓜字寺崎90くらいの所で、道路沿いに立っている。当地域は、地元住民を対象にした乗合タクシーがあるだけで、バスの便はない。
(撮影:平成26年4月12日)