多福院(たふくいん)山門脇 本堂側 石塔婆群 (宮城県石巻市吉野町1-4-9)
浄賢禅門 七回忌供養の石塔婆で、室町時代前期 永享八年(1436)の紀年銘がある。
多福院 胎蔵界大日種子石塔婆(市指定文化財、室町時代前期 永享八年 1436年、粘板岩、高さ 85Cm 幅 21.5Cm) |
頭部の向って右側を欠く。上方は、胎蔵界大日種子「アーク」、その下に華厳経に出る偈、下方は紀年銘と造立趣旨を刻む。
碑面上方、主尊種子「アーク」
胎蔵界大日如来の種子「アーク」を薬研彫する。
造立趣旨に浄賢禅門七年忌とあり、七回忌の本尊として胎蔵界大日「アーク」が刻まれている。
七回忌の本尊は、阿閦(あしゅく)如来だが、十三仏信仰として定型化する前は、胎蔵界大日種子「アーク」が多い。
華厳経に出る偈(げ)
(但し、三句目と四句目が、入れ替っている。)
偈(げ):「若人欲了知(にゃくにんよくりょうち)、三世一切佛(さんぜいっさいぶつ)、心造諸如来(しんぞうしょにょらい)、應當如是観(おうとうにょぜかん) 」
[ もし人ありて、三世一切の御仏(みほとけ)を了知せんと欲すれば、まさにかくの如くに観じて、心に諸々の如来を造るべし。 ]
石塔婆下方、刻銘
下方中央に「右志者 永享八年(1436)十月十八日、孝子、敬白」の紀年銘、
その両側に各一行「相当浄賢禅門七年忌辰」、「乃至法界平等利益也」と刻んでいる。
[ 浄賢禅門 七回忌供養の為、子供等が室町時代前期の永享八年(1436)十月十八日に本碑を造立した。]
多福院(たふくいん)山門脇 本堂側 石塔婆群 (宮城県石巻市吉野町1-4-9)
薬師種子「バイ」を主尊とし、薬師経に出る偈(げ)を刻む石塔婆で、南北朝時代後期 明徳二年(1391)の紀年銘がある。
多福院 薬師種子石塔婆(市指定文化財、南北朝時代後期 明徳二年 1391年、粘板岩、高さ 87Cm 幅 31.5Cm) |
石塔婆は頭部を損傷する。上部は、薬師如来の種子「バイ」、その下に薬師経に出る偈(げ)、下方に紀年銘と造立趣旨を刻む。
下方の刻銘は、中央に「右志者為 明徳二(1391)・・・・・・」、その向って右側に「過去教覚幽儀・・・・・・・」と刻んでいる。
[ 亡き教覚の追善供養の為、南北朝時代後期 明徳二年(1391)に造立された。]
碑面上方、主尊種子「バイ」
薬師如来の種子「バイ」を薬研彫する。
薬師経 第七願 の偈(げ)
(但し 本碑は、三句目の「衆病悉除」が「乃口証口」と変えられ、四句目は剥落し不明。)
偈(げ):「我之名号(がしみょうごう)、一経其耳(いっきょうごに)、衆病悉除(しゅびょうしつじょ)、心身安楽(しんじんあんらく)」
[ わが薬師如来の名号が、一たびその耳に経たなれば、諸病ことごとく除かれ、心身安楽なり。 ]
多福院(たふくいん)山門脇 本堂側 石塔婆群 (宮城県石巻市吉野町1-4-9)
勢至種子「サク」を本尊とする一周忌供養の石塔婆、南北朝時代中期 応安七年(1374)の紀年銘がある。
多福院 勢至種子石塔婆(市指定文化財、南北朝時代中期 応安七年 1374年、粘板岩、高さ 80Cm 幅 31.5Cm) |
頭部は山形風で、碑面は研磨される。身部は、上方に勢至菩薩の種子「サク」、下方に紀年銘と造立趣旨を刻む。
碑面上方、主尊種子「サク」
勢至菩薩の種子「サク」を薬研彫する。
造立趣旨に「仙阿聖霊一周忌」とあり、一周忌の本尊 勢至種子「サク」が刻まれている。
石塔婆下方、刻銘
下方の刻銘は、中央に「右志為 應永七年(1400)五月廿二日 孝子、斎光、敬白」の紀年銘、
その両側に「先考仙阿聖霊一周忌作善、乃至法界衆生平等利益故也」と刻んでいる。
[ 仙阿 一周忌供養の為、室町時代前期の応永七年(1400)五月二十二日に斎光が造立した。]
多福院(たふくいん)山門脇 本堂側 石塔婆群 (宮城県石巻市吉野町1-4-9)
一周忌供養の石塔婆で、婆勢至種子「サク」を本尊とする。南北朝時代後期 永徳四年(1384)の在銘。
多福院 勢至種子石塔婆(市指定文化財、南北朝時代後期 永徳四年 1384年、粘板岩、高さ 59Cm 幅 28Cm) |
頭部はアーチ型。身部は、上方に勢至菩薩の種子「サク」、下方に紀年銘と造立趣旨を刻む。
碑面上方、主尊種子「サク」
勢至菩薩の種子「サク」を薬研彫する。
造立趣旨に「仙阿聖霊一周忌」とあり、一周忌の本尊 勢至種子「サク」が刻まれている。
多福院 草刈山 胎蔵界大日三尊種子石塔婆 石仏と石塔-目次!
石塔婆下方、刻銘
下方の刻銘は、中央に「右志為 永徳二二(四)年(1384)七月廿一日、敬白」の紀年銘、
その両側に「過去妙戒禅尼利益故也」、「一周忌辰也乃至法界平等」と刻んでいる。
[ 南北朝時代後期 永徳四年(1384)七月二十一日、妙戒禅尼 一周忌供養の為、本碑を造立した。]
( 尚、永徳四年(1384)は二月二十六日迄で、七月二十一日は改元後の為、至徳元年になる。 )
*JR石巻線・仙石線 「石巻駅」下車、南東方向へ徒歩 約1.6Km。
(撮影:平成26年4月10日)