多福院(たふくいん)草刈山石塔婆群 前列(宮城県石巻市吉野町1-4-9)
草刈山から移転した石塔婆で、胎蔵界大日三尊種子を主尊する。鎌倉時代後期 永仁二年(1294)の在銘。
多福院 胎蔵界大日三尊種子石塔婆(市指定文化財、鎌倉時代後期 永仁二年 1294年、粘板岩、高さ 178.5Cm 幅 51Cm) |
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頭部は山形風。身部は、上方に胎蔵界大日種子「アーンク」を本尊とする三尊種子、下方は願文及び紀年銘を刻む。 |
碑面上方、「胎蔵界大日種子(五点具足)を本尊とする三尊種子」
三尊種子は、上方に大きく胎蔵界大日種子(五点具足)「アーンク」、向って右下 に観音種子「サ」、左に勢至種子「サク」を刻む。
観音・勢至は、通常 阿弥陀三尊の脇侍。
石塔婆 下部、刻銘 (全文) | 刻銘:「永仁二年(1294)三月」 |
石塔婆 下部の刻銘は、中央に「永仁二年(1294)三月廿九日、孝子等、敬白」の紀年銘、
その左右に「右志者為過去幽霊、出離生死往生極楽也」と刻んでいる。
多福院(たふくいん)草刈山石塔婆群 前列 (宮城県石巻市吉野町1-4-9)
上部を欠失した石塔婆(断碑)で、「涅槃経」に出る偈(げ)だけが残っている。
多福院(たふくいん)石塔婆(断碑) (市指定文化財、紀年不明、粘板岩、高さ 172Cm 幅 34Cm 厚さ 14Cm) |
上部は欠失する。身部は、「涅槃経」に出る「諸行無常」の偈(げ)を草書体で刻む。紀年銘は、不明。
涅槃経に出る偈(げ)、中央に一行づつ二句、下方に並んで二句刻む。碑は、上部を斜めから切断した様な切口になっている。 |
偈(げ):「諸行無常(しょぎょうむじょう)、是生滅法(ぜしょうめっぽう)」「生滅々已(しょうめつめつい)、寂滅為楽(じゃくめついらく)」
[ 諸行は無常である。これ生滅の法である。生滅を滅しおわりて、生も滅もない寂滅を楽しみとする。]
多福院(たふくいん)草刈山石塔婆群 前列 (宮城県石巻市吉野町1-4-9)
追善供養の為造立された石塔婆で、鎌倉時代後期 正安元年(1299)の紀年銘がある。
多福院(たふくいん)石塔婆 (市指定文化財、鎌倉時代後期 正安元年 1299年、粘板岩、高さ 72Cm 幅 22Cm)
上部は、種子の痕跡を残し欠失する。下方は、三行の刻銘があり願文と紀年銘を刻む。
石塔婆 下部、刻銘
刻銘は、中央に「正安元年(1299)、己亥、十月十一日」の紀年銘、
左右に「右志者為過去辻王丸、出離生死往生極楽故也」と刻んでいる。
「辻王丸」の極楽往生を願って鎌倉時代後期 正安元年(1299)十月十一日に造立された。
多福院(たふくいん)草刈山 石塔婆群
多福院の東に位置する御所入草刈山(ごしょのいりくさかりやま)から移転された約十六基の石塔婆群で、本堂の裏側に安置されている。
*JR石巻線・仙石線 「石巻駅」下車、南東方向へ徒歩 約1.6Km。
(撮影:平成26年4月10日)