多福院 草刈山胎蔵界大日三尊 種子石塔婆

 多福院(たふくいん)草刈山石塔婆群 後列 (宮城県石巻市吉野町1-4-9)

  胎蔵界大日を中心とする三尊を縦に刻んだ石塔婆で、室町時代前期 応永四年(1397)の紀年銘がある。

多福院 胎蔵界大日三尊 種子石塔婆 (市指定文化財、室町時代前期 応永四年 1397年、粘板岩、高さ 237.5Cm 幅 37Cm)

多福院の東に位置する御所入草刈山(ごしょのいりくさかりやま)から移転された草刈山石塔婆群 十六基の中一基。

頭部は山形。身部は、上方に胎蔵界大日を中心とした三尊種子、その下に梵字光明真言、下方は造立趣旨及び紀年銘を刻む。

碑面上方、胎蔵界大日種子「ア」を中尊とする三尊種子

三尊種子は、上方に胎蔵界大日種子「ア」、その下、少しあけて阿弥陀種子「キリーク」、続いて阿閦(あしゅく)種子「ウーン」を刻む。

光明真言 (梵字)

光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ」、「シャナ、マ、カーボ、ダラ」、「マ、ニ、ハンドマ、ジンバ、ラ」、「ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン、ダ」

石塔婆下方、刻銘(全文) 刻銘:「應永四年(1397)八月

下方の刻銘は、中央に「應永四年(1397)八月四日、施主、敬白の紀年銘、

左右に右造立意趣者口良珎大徳二度忌、景乃至明余慶同及法界衆生為也」と刻んでいる。

「良珎大徳」の二度忌と刻まれている。

多福院 草刈山観音種子石塔婆

 多福院(たふくいん)草刈山石塔婆群 後列 (宮城県石巻市吉野町1-4-9)

   観音種子「サ」を主尊とする石塔婆で、碑面には「卒塔婆開眼の偈(げ)」だけが刻まれている。

多福院(たふくいん)観音種子石塔婆 (市指定文化財、紀年銘なし、粘板岩、高さ 189Cm 幅 33.5Cm 幅 31.5Cm)

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外観は角塔婆風。身部は、上方に観音種子「サ」、その下に二行で「卒塔婆開眼の偈(げ)」を刻む。紀年銘・願文はない。

主尊種子 「サ」

観音菩薩の種子「サ」を刻んでいる。

卒塔婆開眼の偈(げ)

偈(げ):「一見卒塔婆(いっけんそとば)、永離三悪道(ようりさんなくどう)、何况造立者(がきょうぞうりゅうしゃ)、得定生極楽(とくていしょうごくらく)

[ 一たび卒塔婆(塔)をみれば、永く三悪道(餓鬼・畜生・地獄)を離れられる。何ぞいわんや塔を造立するものは、必ず極楽に生まれることができる。]

( 通常、五所神社倶利伽羅不動板碑(鎌倉市)のように四句が「必生安楽国」とするところが、ここでは「得定生極楽」なっている。

           また、浄土寺(じょうどじ)五輪卒塔婆 東塔(尾道市) のように四句が、「必定成菩提」とするものもある。)

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多福院(たふくいん)草刈山 石塔婆群

多福院の東に位置する御所入草刈山(ごしょのいりくさかりやま)から移転された十六基の石塔婆群で、本堂の裏側に安置されている。

※ 多福院と慈恩院の石塔婆(当HP,掲載分) 時代別一覧

 板碑(いたび)

*JR石巻線・仙石線 「石巻駅」下車、南東方向へ徒歩 約1.6Km。

(撮影:平成26年4月10日)