多福院 草刈山釈迦種子石塔婆

 多福院(たふくいん)草刈山石塔婆群 後列 (宮城県石巻市吉野町1-4-9)

   華厳経に出る偈(げ)を刻む石塔婆で、鎌倉時代後期 徳治三年(1308)の紀年銘がある。

多福院(たふくいん)釈迦種子石塔婆(市指定文化財、鎌倉時代後期 徳治三年 1308年、粘板岩、高さ 258Cm 幅 55Cm)

多福院の東に位置する御所入草刈山(ごしょのいりくさかりやま)から移転された草刈山石塔婆群 十六基の中で一番大きい。

後列、左端から三番目に立つ。身部は、上方に釈迦種子(?)、その下に華厳経に出る偈(げ)、下方は造立趣旨及び紀年銘を刻む。

碑面上方、主尊種子

「バ」に涅槃点(アク)がついて釈迦種子「バク」、その上に空点(アン)と荘厳点(発音しない)が、ついている。

「石巻の歴史第八巻」は、「バーンク」と読んでいるが、「バンク」と読むのかもしれない。

華厳経に出る偈(げ)

偈(げ):「三界唯一心(さんがいゆいつしん)、心外無別法(しんげむべっぽう)、心佛及衆生(しんぶつぎゅうしゅじょう)、是三無差別(ぜさんむしゃべつ)

[ 三界は唯(ただ)一心にあり、心の外に別の法なく、心と仏と衆生、この三つに差別なし ]

(三界:欲界・色界・無色界の三つの世界)(この偈は、源信が華厳経の句を集めて作ったと推測されている。)

石塔婆下方、刻銘(全文) 刻銘:「徳治三年(1308)、戊申、卯月

下方の刻銘は、中央に「徳治三年(1308)、戊申、卯月、施主、敬白の紀年銘、

左右に右志者為禅宮比丘尼、逆修造立乃至一切衆生也」と刻んでいる。

禅宮比丘尼の逆修供養として、鎌倉時代後期 徳治三年(1308)に造立された。

多福院 草刈山種子石塔婆(断碑)

 多福院(たふくいん)草刈山石塔婆群 後列 (宮城県石巻市吉野町1-4-9)

  上部を欠失した、断碑。種子の痕跡・銘文の一部を残す。

多福院(たふくいん)種子石塔婆(市指定文化財、紀年銘なし、粘板岩、高さ 89Cm 幅 29Cm 厚さ 7.6Cm)

上部を欠失し、種子の痕跡を残す。その下に「右志者相当・・・・・・、口口口口、辛口、口月口八日」の刻銘が残っている。

多福院(たふくいん)草刈山 石塔婆群

徳治三年(1303)銘石塔婆は、後列、向って左から三基目。

※ 多福院と慈恩院の石塔婆(当HP,掲載分) 時代別一覧

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多福院(たふくいん)草刈山 石塔婆群背面

 板碑(いたび)

*JR石巻線・仙石線 「石巻駅」下車、南東方向へ徒歩 約1.6Km。

(撮影:平成26年4月10日)