高徳寺(こうとくじ)(宮城県石巻市三輪田字持領60)
碑面に五輪塔を線刻した石塔婆で、同年銘 五輪石塔婆の後方に立つ。同じ鎌倉時代後期 正応五年(1292)の紀年銘がある。
高徳寺(こうとくじ)線刻五輪塔石塔婆(鎌倉時代後期 正応五年 1292年、粘板岩、高さ 149Cm 幅 92Cm 厚さ 7Cm)
石塔婆は力強く五輪塔を線刻するが、頂部の空輪上半以上を欠損する。五輪塔は、各輪に大日如来報身真言を刻んでいる。 |
入口の右手にある平場に石塔婆は立つ。特に、本基を含む二基の正応五年(1292)銘 線刻五輪塔石塔婆が、名高い。
五輪塔形
下方の地輪から上に向って、各輪に大日如来報身真言(胎蔵界大日真言)「ア・ビ・ラ・ウーン・ケン」を刻む。
また、五輪形の左右には「・・・三世諸仏頭頂八万法蔵之」、「口蔵依之髪・・徳為慈父高恩故之造立」の刻銘がある。
刻銘:「口蔵依之髪・・徳為慈父高恩故之造立」 | 刻銘:「・・・三世諸仏頭頂八万法蔵之」 |
石塔婆、下部
中央に「正応五年(1292)、仲冬(十一月)、廿日」の紀年銘が刻まれている。
紀年銘は、もう一基の五輪石塔婆から二十一日(三七日)の間隔で造立されており、同じ人物を祀った追善碑とみる考えもある。
刻銘:「正応五年(1292)、仲冬(十一月)、廿日」 | 本基ともう一基の五輪石塔婆は、同じ作者とみられている。 |
高徳寺(こうとくじ)(宮城県石巻市三輪田字持領60)
不動種子「カーンマーン」の部分があったが不明、下方の刻銘部が残っている。鎌倉時代後期 正中二年(1325)の在銘。
高徳寺(こうとくじ)不動種子石塔婆(鎌倉時代後期 正中二年 1325年、粘板岩、高さ 116Cm 幅 60Cm 厚さ 8Cm)
石塔婆群、後列に立つ。刻銘部に「平直重逆修」の造立趣旨と「正中二年(1325)」の紀年銘が刻まれている。 |
刻銘全文(向かって右から):「右為平直重逆修如斯口」、「正中二年(1325)、乙丑、二月時正敬白」。
刻銘:「正中二年(1325)、乙丑、、二月」 | 刻銘:「平直重逆修」 |
高徳寺(こうとくじ)石塔婆群
*JR石巻駅からミヤコ―バス石巻専修大学線 飯野川行きに乗車、尾崎バス停から東方向に徒歩 約21分。石巻駅前のレンタカーの店で、自転車を借りるのが便利。
(撮影:平成26年4月12日)