高野山町石（こうやさんちょういし）（和歌山県伊都郡高野町・かつらぎ町・九度山町）

　九度山町の慈尊院から伽藍大塔まで180町に180基、大塔から奥の院大師廟までの36町に36基の五輪卒塔婆を立て町石とした

十一町石（国史跡、大正二年 1913年、花崗岩、本尊種子：一切如来智印）

背面刻銘：「大正二年立秋再建 宇治 長谷川」

町石五輪卒塔婆は正面に五輪塔の梵字を刻み、その下に大きく本尊の種子、町目、願主名や願文を刻んでいる

十二町石（鎌倉時代中期 文永五年 1268年、本尊種子：准胝仏母）		十二町石 右刻銘：「為先考入道秋田城介藤原義景」
正面願主：「秋田城介藤原朝臣泰盛」　　　　　左刻銘：「文永五年閏正月日」

高野山町石は弘法大師空海が登山者の道しるべとして、弘仁七年（816）に木製の卒塔婆を建立したと伝えられ、鎌倉時代中期の文永二年（1265）に

覚きょう上人が発願して石造卒塔婆に立て替えられた。20年後の弘安8年（1285）に落慶法要が行われている。桃山・江戸・大正時代に改補修したものもある

十三町石（国史跡、鎌倉時代中期 、花崗岩、本尊種子：大安楽不空真実金剛）

正面願主：「比丘尼如阿」　　　左側面刻銘：「為沙弥徳蓮比丘法法如」

十四町石（鎌倉時代中期、本尊種子：聖観自在菩薩）		十五町石（鎌倉時代中期、本尊種子：多羅菩薩）
正面願主：「金剛三昧院僧衆」		正面願主：「安養院僧衆」、頭部は大正2年（1913）の後補

町石は花崗岩製で、鎌倉時代のものは一石で彫成され、大きさは 高さ 267Cmで30Cm角（一尺）を標準としている

十六町石（国史跡、鎌倉時代中期、花崗岩、本尊種子：大明白身菩薩）

正面願主：「金剛三昧院」　　　　　　左側面刻銘：「四十八巻結衆等」

十七町石（鎌倉中期 文永七年 1270年、種子：馬頭観音菩薩）		十八町石（鎌倉中期 文永七年 1270年、種子：毘倶胝菩薩）
正面願主：「右衛門尉草部利弘」　左側面：「文永七年三月十七日」		正面：「法印権大僧都實寶」
右側面願文：「為二親養父母并比丘尼観阿」		左側面：「文永七年六月廿一日」

十九町石（国史跡、鎌倉時代中期 文永七年 1270年、花崗岩、本尊種子：大勢至菩薩）

右側面願文：「為先師前権僧正勝尊」

十九町石 正面願主：「権少僧都覚済」		十九町石 左側面刻銘：「文永七年（1270）八月廿三日」

この第十九町石の願主名「権少僧都覚済」は、上醍醐第二十二町石の願主名と同じで、上醍醐町石の造立時期が明らかになっている

　高野山町石五輪卒塔婆、21〜30町石（慈尊院側） 　　　　　町石目次　　　　石仏と石塔-目次！

二十町石（鎌倉時代中期 文永七年 1270年、本尊種子：蓮華部発生菩薩）、正面願文：「為主君聖霊」
左側面紀年銘：「文永七年（1270）八月廿三日」　　　　右側面願主：「大法師良猷」

九度山町 慈尊院からの道は「高野山町石道（こうやさんちょういしみち）」と呼ばれ高野山への表参道であった

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（参考文献：「高野山町石の研究」 愛甲昇寛 著、密教文化研究所 他）

五輪塔紀年順

高野山 60町石五輪卒塔婆（慈尊院側）（鎌倉中期）

五輪塔-紀年順-目次

＊南海電鉄 極楽橋よりケーブル「高野山駅」下車、南海バス「大門バス停」下車 徒歩。又は南海電鉄「九度山駅」下車、北西へ 徒歩1.5Kmの慈尊院から町石道を歩く

（撮影：平成21年3月26日、平成21年4月23日））