薬王院(やくおういん)(石川県加賀市山代温泉18−40)
悉曇学(しったんがく)(梵学)の最高の地位にあった明覚上人の供養塔として、小堂に祀られている。
薬王院(やくおういん)五輪塔 [ 重要文化財、鎌倉時代後期、凝灰岩(戸室石)、基壇からの高さ 175Cm ] |
各輪の正面のみ梵字 「キャ・カ・ラ・バ・ア」を五点具足にし、月輪の周縁に小蓮弁をめぐらす越前式の意匠にする。
空・風輪(正面)、両輪とも大きく、摩耗の為か梵字がはっきりとしない。 | ||
本堂前を奥に進み、山裾をさらに上った小堂に安置されている。 | 火輪(側面)、軒は厚く、両端でわずかに反る。 |
梵字は各輪の正面だけで、他の三面は素面。
火 輪(正面)
梵字「ラ」を五点具足にし、薄肉彫りの蓮座上 月輪の周縁に小蓮弁をめぐらす越前式。
越前式の代表的意匠は、福井県越前町の大谷寺(おおたにじ)九重石塔や丸山(まるやま)石造宝塔に見られる。
水 輪(正面)
どっしりとした張のある形で、上・下端が火輪と地輪にくい込んでいるように見える。
梵字「バ」を五点具足にした「バーンク」(金剛界大日種字)、意匠は越前式。
水 輪(側面)
側面と背面の三面は、素面で何も刻まれていない。
地 輪(正面)
梵字「ア」を五点具足にした「アーンク」(胎蔵界大日種字)、意匠は薄肉彫りの蓮座上 月輪の周縁に小蓮弁をめぐらす越前式。
地 輪(背面)
側面と背面の三面は、素面で何も刻まれていない。
基 壇
二段で、背の低い上段・上端の周囲を小さな単弁反花で荘厳する。
薬王院(やくおういん)五輪塔 小堂
額には「開山御廟」、正面左の石塔には「加州隠者明覚之墓」としるされている。
薬王院 温泉寺(やくおういんおんせんじ)
奈良時代中期 神亀二年(725) 僧行基が温泉の湧出を発見、その鎮護のため
一宇を建立し薬師如来を祀ったのが始まりという。明覚上人は中興の祖とされている。
-、 | ||
五輪塔紀年順 | 知恩院(ちおんいん)五輪塔(鎌倉時代後期) | 五輪塔-紀年順-目次 |
*JR加賀温泉駅前から山代温泉・山中温泉方面行きバスに乗車、「山代温泉バス停」下車、南方向に徒歩 約4分。
(撮影:平成28年7月31日)