温泉寺(おんせんじ)(兵庫県豊岡市城崎町湯島985-2)
近くの桃島宝篋印塔(応安五年 1372年銘)と共通点が多い宝篋印塔で、桃島塔よりやや時代が下がる南北朝時代後期の作品と思われる。
温泉寺(おんせんじ)宝篋印塔 東塔 (市指定文化財、推定:南北朝時代後期、石英安山岩)
塔身、金剛界四仏の種子を蓮座上月輪内に刻む(正面、タラーク:宝生) | ||
宝篋印塔は木造多宝塔の東側、切石の基壇上に安置されている。 | 塔身、金剛界四仏種子を蓮座上月輪内に刻む(西面、キリーク:阿弥陀) |
笠
段型は、下二段、上六段。隅飾りは二弧輪郭付で、内は西面を除く三面が無地、外傾する。
笠、西面
隅飾りは、向って左側を欠損、右側は金剛界大日如来の種子「バン」を刻む。
塔身、金剛界四仏の種子を蓮座上月輪内に刻む(背面、アク:不空成就) | ||
塔身、金剛界四仏の種子を蓮座上月輪内に刻む(東面、ウーン:阿閦) | 西側の重文塔に比べ、笠の隅飾りがより傾き、時代は下がっている。 |
基礎、正面
上端は二段、側面は輪郭を巻き、内に中心飾りつきの格狭間をつくる。但し、中心飾りつきの格狭間は正面のみ。
中心飾りつきの格狭間は、西側に立つの温泉寺 重文塔や京丹後市の縁城寺塔(重文)に見られる但馬・丹波・丹後地方の地方色
相輪は、下から伏鉢、複弁請花、九輪、単弁請花、宝珠で完存。 | 装飾の多い宝篋印塔で、南北朝時代後期の作品と思われる。 |
基礎、西面
東面と西面の両側面は、通常の格狭間で内は無地。
桃島宝篋印塔(南北朝)と共通点が多いが、やや簡略化されている。 | 隅飾りは、西面にのみ金剛界大日如来の種子「バン」を刻む。 |
基礎、背面(北面)
北面のみ、側面は無地。刻銘はない。
台 座
上端は複弁反花、側面は無地。
温泉寺本堂(重要文化財、南北朝時代 至徳年間 1384~1387年建立、桁行五間 梁間五間、入母屋造、銅板葺)
温泉寺山門 (市指定文化財、江戸時代中期 明和年間 1674~1772再建、欅造り)
山門の仁王像(鎌倉時代)は、運慶・湛慶の作と伝えられ県の文化財に指定されている。
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*城崎ロープウェイ「温泉寺駅」下車すぐ。
(撮影:平成23年1月3日、平成25年9月10日)