坂元 阿弥陀堂(さかもとあみだどう)(兵庫県加西市坂元町531)
三名の追善供養として法華経一千部を唱え、本板碑を建立する。江戸時代前期 寛文二年(1662)の紀年銘がある。
坂元 阿弥陀堂(あみだどう)釈迦三尊種子板碑 (江戸時代前期 寛文二年 1662年、凝灰岩、高さ 153Cm 幅 31Cm) |
- |
板碑は、五重石塔の傍に立つ。頭部山形、身部は長方形の彫りくぼみを作り、その上方に釈迦三尊種子、下に銘文を刻む。 |
地元産 高室石(凝灰岩)の正面を平らにし、身部に長い長方形の彫りくぼみを作る。側面から背面は、船底形に整形し、正面観を重視する。
板碑 頭部
頭部は鋭利感のある山形、下の二条線はない。
身部上方、釈迦三尊種子
三尊種子は、上方に釈迦種子「バク」、向って右下に普賢種子「アン」、左に文殊種子「マン」を刻む。
主尊の釈迦種子「バク」がやや小さく刻まれている。
(尚、加西市史別卷「加西の石仏」では、本種子を阿弥陀三尊種子としているが、釈迦三尊種子であることは明らか。)
身部中央の刻銘(上) | 身部中央の刻銘(下) |
身部中央に「奉讀誦大乗妙典一千部者為實世道真禅定門成三菩提也」と刻む。
実世と道真は在俗出家の男性で成三は俗人。この三名の菩提を弔う為、法華経一千部を読誦し、本板碑を造立した。
法華経 方便品に出る偈(げ)(左右、各一行)
偈(げ):「十方佛土中(じっぽうぶつどちゅう)唯有一乗法(ゆいういちじょうほう)无二亦无三(むにやくむさん) 除佛方便説(じょぶつほうべんせつ)」
[ 十方の仏土の中には、ただ一乗の法のみあり、二もなく三もなし。仏の方便の説を除く ]
身部、下方の刻銘 | 刻銘:「寛文二、壬寅、年」 |
向って右に小さく「寛文二、壬寅、年(1305)」、左に「十一月十八日」と刻む。
板碑 下方
中央に「施主敬白」の文字がある。
坂元阿弥陀堂 釈迦三尊種子板碑(背面、向って左手前)と五重石塔(県指定文化財、鎌倉時代中期)
*中国ハイウェイバス(JRバス・神姫バス) 「アスティア加西バス停」、又は北条鉄道「北条駅」 下車 西南西方向へ 約2Km。阿弥陀堂は大歳神社の西南 約150m。北条駅構内の観光案内所で、レンタサイクルが利用できる。
(撮影:平成21年8月7日)