西方寺(さいほうじ)五輪塔 二基

 西方寺跡(さいほうじあと)(兵庫県赤穂郡上郡町船坂字西方寺上)

   石造宝塔の左右に、二基の五輪塔を安置する。向って右が北塔、左が南塔で、加古川市 常楽寺の五輪塔が同形式の配置をとっている。。

西方寺(さいほうじ)五輪塔 北塔

 各輪の四方に五輪塔四門の梵字を大きく刻み古風を示している。鎌倉時代中期の様式を継承した鎌倉時代後期 初めの作品と思われる。

西方寺(さいほうじ)五輪塔 北塔 (向って右側) (鎌倉時代後期、花崗岩)

風・空輪(正面)、一石からなり空輪は宝珠の形。
宝塔の右側に立つ。紀年銘はないが、宝塔と同時期と思われる。 水輪(正面)、やや下がすぼまった形。

各輪に五輪塔四門の梵字を刻むが、風・空輪は、火・水・地輪と梵字が合わず、状態のいい「キャー・カー」面を正面にしたものと思われる。

火 輪 (正面)

軒口厚く、全体に緩やか反る。軒先は、ほぼ垂直に切る。

正面(東面)の火・水・地輪の梵字が、「ラク・バク・アク」で北方・涅槃門の位置になっており、90度時計回りに進んだ位置に設置されている。

五輪塔 四門の梵字(通常の場合)、上(空輪)から下(地輪)へ

キャ・カ・ラ・バ・ア   (東方、発心門)               キャー・カー・ラー・バー・アー   (南方、修行門)

ケン・カン・ラン・バン・アン   (西方、菩提門)         キャク・カク・ラク・バク・アク    (北方、涅槃門)

地輪 (正面)

大きく豪快に梵字「アク」を刻んでいる。

西方寺(さいほうじ)五輪塔 南塔

 北塔に比べ、五輪塔四門の梵字が小さく、火輪の軒反(のきぞり)も強い。北塔より時代が少し下がった鎌倉時代後期の作品と思われる。

西方寺(さいほうじ)五輪塔 北塔 (向って左側) (鎌倉時代後期、花崗岩)

風・空輪、一石からなり空輪は宝珠の形。
宝塔より少し時代が下がった鎌倉時代後期の作と思われる。 水輪、ボール形を上・下から少し押した形の楕円形。

火 輪

軒口厚く、軒先にて力強く反る。

地 輪

四門の梵字が、北塔に比し小さくなっている。

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西方寺石造宝塔と五輪塔二基

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*JR山陽本線「上郡駅」下車、北西方向へ約3Km。 県道90号線、智頭急行線の下をくぐり約2Km 県道沿いに流れる阿室川に架かる西方寺橋を渡り、すぐ左折、そこに案内の矢印が立っている。案内通り、突き当りを右折、直進、墓地の北側を左折、道なりに進み小川を渡り、しばらく進むと開けた場所があり、そこに宝塔と五輪塔が立っている。

(撮影:平成25年7月2日)