五宝寺(ごほうじ)(群馬県館林市台宿7-10)
頭部と根部を欠損する。蓮座上に荘厳体で刻まれた阿弥陀種子、下の不動曼荼羅、意匠化された五輪塔、永仁五年(1297)の紀年銘がある。
五宝寺 不動曼荼羅板碑(県指定文化財、鎌倉時代後期 永仁五年 1297年、緑泥片岩、高さ 122Cm 下幅 36Cm)
山門をくぐり本堂に行く参道の左手、覆屋内に安置されている。もと五宝寺歴代住職の墓域内にあったという。 |
頭部山形を欠損しコンクリートで防護する。上方は蓮座上に荘厳体で大きく阿弥陀種子、下方に不動曼荼羅、その下中央に紀年銘、左右に意匠化した五輪塔を刻む。
埼玉県朝霞市の金子家に完存する不動曼荼羅板碑が二基ある。(下、写真)
金子家不動曼荼羅板碑(県指定文化財、鎌倉時代後期 正安三年 1301年、緑泥片岩)
不動曼荼羅板碑は、中央と向って右側。
身部上方、荘厳体で阿弥陀如来の種子「キリーク」。 | 身部下方、不動曼荼羅と二基の五輪塔、中央に紀年銘。 |
阿弥陀如来の種子「キリーク」は左右二重線の輪郭で囲み、頭部は三弁宝珠で荘厳されている。しかし三弁宝珠は大部分が欠損している。
身部下方の紀年銘:「永仁五年(1297)、丁酉、三口」
不動曼荼羅(ふどうまんだら)
曼荼羅の内院に不動明王を中心とする「五大明王」、外院に「十二天」の種子を各月輪内に配する。
五大明王は鎮護国家や玉体安穏を願う秘法の本尊として、十二天曼荼羅は災害削除・国土安泰などを祈って修される十二天供の本尊とされている。
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日 天 | 帝 釈 天 | 梵 天 | ||||||||
- | ア | - | イー | - | ボラ | - | ||||
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伊 舎 那 天 | 金 剛 夜 叉 | 降 三 世 明 王 | 火 天 | |||||||
イ | ウーン | ウーン | ア | |||||||
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- | 多 聞 天 | - | 不 動 明 王 | - | 焔 魔 天 | - | ||||
バイ | カーン | エン | ||||||||
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地 天 | 大 威 徳 明 王 | 軍 茶 利 明 王 | 羅 刹 天 | |||||||
ビリ | キリーク | ウーン | ニ | |||||||
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月 天 | 風 天 | 水 天 | ||||||||
シャ | バー | バ | ||||||||
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不動曼荼羅の種子配置(方向は、上方が東で向かって左が北。)
[上野国板碑収録(全):千々和実 編、西北出版 参照]
刻銘:「永仁五年(1297)、丁酉、三口」 | 背面に当寺開基造立の後刻があるという。(コンクリートで見えない) |
板碑、最下部
中央に「永仁五年(1297)、丁酉、三口」の紀年銘、左右に五輪塔を意匠化して二基刻まれている。
五宝寺(ごほうじ)(真義真言宗)
*東武伊勢崎線 「館林(たてばやし)駅」下車、北東方向に 約1.3Km。
(撮影:平成28年10月13日)