珊瑚寺 建武二年銘 阿弥陀三尊種字板碑

 珊瑚寺(さんごじ)(群馬県前橋市富士見町石井1227)

   横に立つ建武元年銘板碑と同形で少し小さい。約1年後の建武二年(1335)の紀年銘があり、元年碑と比べ装飾性が進んでいる。

珊瑚寺 阿弥陀三尊種子板碑(市指定文化財、南北朝時代前期 建武二年 1335年、緑泥片岩、高さ 144.5Cm 幅 40Cm 厚さ 5Cm)

身部は二重線の輪郭を巻き、天蓋の下 阿弥陀三尊種子を蓮座上に、下方は紀年銘 他・光明真言及び三茎蓮の花瓶一対を刻む。

身部の二重線や 天蓋の表現など、建武元年碑に比べ装飾性が進んでいる。また建武元年碑になかった比丘尼 蓮阿の名があり、女性らしさの表現かもしれない。

板碑 頭部

頭部 山形、下に二段の切込、額部はなく、身部は二重線の輪郭を巻く。

天蓋(てんがい)

瓔珞(ようらく)を垂らし、左右の先端は蕨手(わらびて)状、中央頂上に宝珠を飾る。

横の建武元年碑と比べ、宝珠や両側の蕨手(わらびて)の表現など装飾性が進んでいる。

身部上方、蓮座上に 阿弥陀三尊種子 身部、下方の刻銘

阿弥陀三尊種子は、上方に阿弥陀如来の種子「キリーク」、向って右下 に観音菩薩の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を刻む。

身部下方の刻銘は、中央に「建武二年(1335)、乙亥二月、比丘尼、蓮阿」、両側に光明真言、その下に一対の花瓶を刻む。

梵字光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ」「シャ、ナ、マ、カー、ボ、ダラ」 「マ、ニ、ハン、ドマ、ジンバ、ラ」「ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン」

身部下方、一対の花瓶

一対の花瓶の中に三茎の華を活ける。また、紀年銘の下 花瓶の内側方向に夫々「比丘尼」、「蓮阿」の刻銘がある。

刻銘:「建武二年(1335)、乙亥、二月」 板碑 側背面(本板碑は向って右)

石塔群が安置されている一画

本板碑は前方中央の背が低い方、その右手は建武元年(1334)銘板碑、両碑の間の後ろに見えるのが正和四年(1315)銘板碑(断碑)。

 珊瑚寺 正和四年銘 阿弥陀三尊種子板碑                       石仏と石塔-目次!

珊瑚寺(さんごじ)本堂 (天台宗)

 板碑(いたび)

*JR前橋駅前から日本中央バス 富士見温泉行き に乗車、「珊瑚寺入口バス停」下車、すぐ。

(撮影:平成28年10月14日)