珊瑚寺 建武元年銘 阿弥陀三尊種字板碑

 珊瑚寺(さんごじ)(群馬県前橋市富士見町石井1227)

   阿弥陀三尊種字を天蓋(てんがい)で荘厳し、下方に一対の花瓶を設けた豪華な板碑で、南北朝時代初期建武元年(1334)の紀年銘がある。

珊瑚寺 阿弥陀三尊種子板碑(中央)(市指定文化財、南北朝時代前期 建武元年 1334年、緑泥片岩、高さ 160Cm 幅 40Cm 厚さ 5Cm)

本堂に向って右手に地蔵堂、その奥に板碑や宝塔・五輪塔などを柵で囲み安置した一画がある。その前方中央に立っている。

板碑は、身部に一重線の輪郭を巻き、上方 天蓋の下 阿弥陀三尊種子を各々蓮座上に、下方は紀年銘と光明真言及び三茎蓮を活けた一対の花瓶を刻む。

板碑 頭部

頭部 山形、下に二段の切込、額部はなく、身部は一重線の輪郭を巻く。

天蓋(てんがい)

瓔珞(ようらく)を垂らし、左右の先端は蕨手(わらびて)状、中央頂上に宝珠を飾る。

天蓋は、仏・菩薩などの上にかざす笠が変化したもので、主尊を荘厳するパーツとなっている。

身部上方、蓮座上に 阿弥陀三尊種子 身部、下方の刻銘

阿弥陀三尊種子は、上方に阿弥陀如来の種子「キリーク」、向って右下 に観音菩薩の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を刻む。

身部下方の刻銘は、中央に「建武元年(1334)、大才、甲戌三月十日」、両側に光明真言、その下に一対の花瓶を刻む。

梵字光明真言:「オン、ア、ボ、ギャ、ベイ、ロ」「シャ、ナ、マ、カー、ボ、ダラ」 「マ、ニ、ハン、ドマ、ジンバ、ラ」「ハラ、バ、リタ、ヤ、ウーン」

身部下方、一対の花瓶

摩耗が激しいが、一対の花瓶の中には三茎の華が活けられている。

刻銘:「建武元年(1334) 板碑 側背面(本板碑は向って左)

石塔群が安置されている一画

本板碑は前方中央の背が高い方、その向かって左は建武二年(1335)銘板碑、後列左から二基目が正和四年(1315)銘板碑(断碑)。

 珊瑚寺 建武二年銘 阿弥陀三尊種子板碑                       石仏と石塔-目次!

珊瑚寺(さんごじ) (天台宗)

 板碑(いたび)

*JR前橋駅前から日本中央バス 富士見温泉行き に乗車、「珊瑚寺入口バス停」下車、すぐ。

(撮影:平成28年10月14日)