(弘前市史No:弘前61)
中別所(なかべっしょ)石塔婆群・公卿塚(くげづか) [青森県弘前市中別所字葛野]
僧 道明が造立した石塔婆で、鎌倉時代後期 正和二年(1313)の紀年銘がある。
中別所 金剛界大日種子石塔婆(鎌倉時代後期 正和二年 1313年、安山岩、高さ 180Cm 幅 68Cm 厚さ 20Cm)
公卿塚に立つ石塔婆で、主尊「バン」に二線の方形輪郭を巻き、二線内に名号・紀年銘・光明遍照偈を刻み、下方に願文を刻む。 |
主尊に二線の輪郭を巻き、内に名号や紀年銘・偈頌(げじゅ)を記す形は、当地から北東 約1.5Kmにある高杉 南貞院石塔婆(正和元年 銘)によく似ている。
二線の輪郭、上方(名号)
二線の輪郭内に「南無阿弥陀佛」の六字名号を刻む。
石塔婆 中央
中央に大きく金剛界大日如来の種子「バン」を薬研彫し、方形の輪郭を二線で巻く。
上方の二線内に「六字名号」、下方の二線内に「紀年銘」、左右の二線内に「観無量寿経に出る偈(げ)」を刻む。
光明遍照 → | 十方世界 → | 念仏衆生 → | 摂取不捨 |
観無量寿経に出る偈(げ)
偈(げ):「光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)、念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)」
[ 光明はあまねく十方世界を照らし、念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]
二線の輪郭、下方(紀年銘)
二線の輪郭内に「正和二年(1313)十一月日」と刻む。
石塔婆 下方
刻銘全文:「右於現当為没後追善、彫大日之真形於石修菩、提之因願以此功生上刹等導、弌(一)切耳、 僧道明 謹立」
中別所(なかべっしょ)石塔婆群 部分 (公卿塚)
中央は、本石塔婆群 最古最大の金剛界大日種子石塔婆(No:弘前62)、その左隣に本石塔婆(No:弘前61)が立つ。
*JR 弘前駅前から弘南バス 弘前~船沢・三ツ森線、または弘前~弥生・新岡・葛原線に乗車、「折笠バス停」下車、北東方向へ約1.7Km。
(撮影:平成25年10月13日)