安養寺(あんようじ)金剛界大日種子板碑

 安養寺(あんようじ)(和歌山県日高郡みなべ町芝605-1)

  十三仏信仰 十三回忌の本尊 金剛界大日種子「バン」を主尊とする板碑で、「為十三年」の刻銘がある。紀年銘はない。

安養寺(あんようじ)金剛界大日種子板碑 (県指定文化財、鎌倉時代後期、砂岩)

板碑群 南列、向って右端の板碑で、身部は上方に大きく金剛界大日種子「バン」、下方に「為十三年、御造立供養之」と刻む。

板碑 頭部

頭部、緩い山形状に加工。

身部上方に、大きく金剛界大日如来の種子「バン」を刻む。 刻銘:「為十三年」

十三仏信仰 十三回忌の本尊 金剛界大日種子「バン」を主尊とし、「為十三年」の刻銘があるところから、十三仏信仰の板碑とみなされる。十三仏の最初の十仏は、

閻魔王など十王の本地仏を、初七日(不動)から三回忌(阿弥陀)までに当て、この十仏に七回忌 阿閦、十三回忌 大日、三十三回忌 虚空蔵を加えたのが十三仏。

また、十三仏に付け加えられた最後の三仏が、真言宗系の僧やその系譜にある人たちにより追加されたとみなされている所から高野山との関わりが考えられる。

板碑として十三仏が現れるのは南北朝時代からで、室町時代に盛んに行われるようになる。その為、本板碑が十三仏関連の板碑とみなした場合、種子の彫りが弱い

とや頭部が山形に成形されている事と相まって、造立年代が現地説明の「鎌倉時代」より時代が下がり、南北朝~室町時代に入ってからの可能性が高いと思われる。

十三仏は、死者の追善供養のために①.初七日(不動)、②.二十七日(釈迦)、③.三十七日(文殊)、④.四十七日(普賢)、⑤.五十七日(地蔵)、⑥..六十七日(弥勒)、⑦.七十七日

(薬師)、⑧.百ヶ日(観音)、⑨.一周忌(勢至)、⑩.三回忌(阿弥陀)、⑪.七回忌(阿閦)、⑫.十三回忌(大日)、⑬.三十三回忌(虚空蔵)の十三仏事にわりあてられた仏・菩薩をいう。

身部 下方

向って右に「為十三年」、左に「御造立供養之」の刻銘がある。

安養寺(あんようじ)勢至種子板碑

 安養寺(あんようじ)(和歌山県日高郡みなべ町芝605-1)

  十三仏信仰 一周忌の本尊 勢至菩薩の種子「サク」を主尊とする板碑で、「一周忌」の刻銘がある。紀年銘はない。

安養寺(あんようじ)勢至一尊種子板碑 (県指定文化財、鎌倉時代後期、砂岩)

境内の板碑群南列 六基中、向って右から四基目に立つ。板碑は、上方に勢至菩薩の種子「サク」、下方に「一周忌 六月」の刻銘を刻む。

現地説明による勢至種子「サク」は、肉眼ではほとんど判明できない。

身部 下方

向って右に「一周忌」、左に「六月」の刻銘がある。

 安養寺(あんようじ)阿弥陀種子・名号複合板碑               石仏と石塔-目次!

安養寺(あんようじ)板碑群 南列 六基(県指定文化財、砂岩自然石)

 板碑(いたび)

*JR紀勢本線「南部駅」下車、北方向へ 徒歩 約6分。

(撮影:平成25年7月9日)