徳蔵寺 文永三年銘 阿弥陀三尊種子板碑

 徳蔵寺(とくぞうじ)(東京都東村山市諏訪町1-26-3)

  阿弥陀三尊種子を刻んだ板碑で、小型ながら重量感がある。館内最古 鎌倉時代中期 文永三年(1266)の在銘碑。

徳蔵寺 阿弥陀三尊種子板碑(鎌倉時代中期 文永三年 1266年、緑泥片岩、高さ 73Cm 下幅 34Cm)

「元弘の碑」の対面側、右端に展示されている。身部は、上方に阿弥陀三尊種子、下方に「文永三年(1266)」の紀年銘等 銘文を刻む。

阿弥陀三尊種子は、上方に阿弥陀如来の種子「キリーク」、向って右下 に観音菩薩の種子「サ」、左に勢至菩薩の種子「サク」を刻む。

板碑 頭部

頭部山形、下に二条線、身部は一重線の輪郭を巻く。頭部山形の上二辺が、やや削り込まれている。

身部下方の刻銘

中央に「文永三(1266)、二月八日」向って右側に「悲母賢」の刻銘がある。

徳蔵寺 延慶三年銘 阿弥陀種子板碑

 徳蔵寺(とくぞうじ)(東京都東村山市諏訪町1-26-3)

  比企郡中山村(現、埼玉県川島村)から徳蔵寺に流入した板碑。阿弥陀種子を刻んだ板碑で、 鎌倉時代後期 延慶三年(1310)の紀年銘がある。

徳蔵寺 阿弥陀一尊種子板碑(鎌倉時代後期 延慶三年 1310年、緑泥片岩、高さ 112.5Cm 下幅 37Cm)
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「元弘の碑」の対面側、武蔵型板碑の左から二基目。身部上方、蓮華座上月輪内に阿弥陀種子、下方に紀年銘と法名を刻む。

「東村山の板碑」(東村山市教育委員会 発行)によれば、徳蔵寺保存館にある板碑の約三分の二は他の場所から流入した板碑で、これは、旧制中学の

先生であった川島町の遠山荒次氏が蒐集した板碑が、古物商の手にあり、その散逸を恐れて当時の住職 朝木義栴師が一括購入されたからという。さ

らに、板碑保存館が建設され、徳蔵寺にあった「元弘の碑」を含む板碑を中心に整理され陳列・安置されている。徳蔵寺の板碑保存館は、開放的で間近

に約170基もの板碑が見ることができ、史料的価値も高い。朝木義栴師の志は高く、その思いをうけて板碑館が多くの人に愛されることを願ってやまない。

板碑 頭部

頭部山形、下に二段の切込、額部は薄く突出する。身部の輪郭はない。

蓮華座上月輪内に刻まれた阿弥陀如来の種子「キリーク」 身部下方の刻銘

蓮華座は、細部も表現され美しい。下方の刻銘は、中央に延慶三年(1310)七月十一日」右側に法名 西阿弥陀仏と刻まれている。

時宗系の「阿号」の上に法名と刻まれるのは珍しい。中世には在家者が、在俗のまま出家することが多く、法名を名乗っている。

 徳蔵寺 文永七年銘 阿弥陀種子板碑.                     石仏と石塔-目次!

館内 展示風景

向って左端二基が比翼碑(ひよくひ)、右端が館内最古の文永三年銘阿弥陀三尊種子板碑

 板碑(いたび)

*西武新宿線「東村山駅」下車、北方向へ徒歩 約16分。館内の板碑群は、整理が行き届いており、ここを拝観するだけで武蔵型板碑の概観を知ることができる。ぜひ、一見をお勧めしたい。(月曜日休館、拝観料 200円)。尚、当方URLの最後の数字は、徳蔵寺板碑の通し番号に合わせています。

(撮影:平成25年3月6日)