徳蔵寺(とくぞうじ)(東京都東村山市諏訪町1-26-3)(「元弘の碑」に向かって右側列に展示)
惜しくも上半を欠失し、下方に美しい書体で法華経 譬喩品に出る偈(げ)を刻む。 鎌倉時代後期 嘉元元年(1303)の在銘碑。
徳蔵寺(とくぞうじ)嘉元元年銘断碑 (鎌倉時代後期 嘉元元年 1303年、緑泥片岩、高さ 139Cm 下幅 55.5Cm) |
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板碑の上半を欠失し、身部下方に銘文を残す。銘文の上方は法華経 譬喩品に出る偈(げ)、下方に紀年銘・二名号 等を刻む。 |
板碑の身部は、一重線の輪郭を巻く。また、通常、地中にある根部も見ることができ興味深い。
身部、法華経 譬喩品に出る偈(げ)
偈(げ):「今此三界(こんしさんがい)、皆是我有(かいぜがう)、其中衆生(ごちゅうしゅじょう)、悉是吾子(しつぜごし)」
[ 今、この三界(欲界・色界・無色界)はみなこれ我が有するところ、その中の衆生はことごとく我が子なり ]
身部、下方の刻銘
刻銘は、中央に「嘉元々年(1303)、癸卯、六月、十五、日」、左右に「南無阿弥陀佛、南無阿弥陀佛、孝子等、敬白」と刻む。
孝子は、子が父母を祀る碑に刻む語。従って、二親の供養の為、子等がこの板碑を造立した。紀年銘の両側に「南無阿弥陀仏」の名号が刻まれている。
尚、「嘉元元年(1303)六月十五日」の紀年銘があるが、「嘉元元年」は八月五日からで、六月十五日は乾元二年となる。施行日より遅い例はたくさんあるが、早い例は珍しい。
徳蔵寺(とくぞうじ)(東京都東村山市諏訪町1-26-3)(「元弘の碑」に向かって左側列に展示)
館内に四基ある延慶三年(1310)銘板碑の一基。そのなかで阿弥陀種子を主尊とする板碑は三基ある。
徳蔵寺 阿弥陀種子板碑(鎌倉時代後期 延慶三年 1310年、緑泥片岩、高さ 61Cm 下幅 18Cm) |
頭部山形、下に二条線、身部は、輪郭がなく、阿弥陀如来の種子を蓮華座上に薬研彫し、下方に「延慶三年(1310)十一月 日」の紀年銘を刻む。
線刻の蓮華座上、阿弥陀如来の種子「キリーク」刻む。 | 刻銘:「延慶三年(1310)十一月 日」 |
徳蔵寺(とくぞうじ)(東京都東村山市諏訪町1-26-3)(「元弘の碑」に向かって左側列に展示)
比企郡伊草村(現、埼玉県川島町)に旧在した板碑で、阿弥陀種子を主尊とする。 鎌倉時代後期 延慶三年(1310)の紀年銘がある。
徳蔵寺 阿弥陀種子板碑(鎌倉時代後期 延慶三年 1310年、緑泥片岩、高さ 64.5Cm 下幅 24Cm |
頭部山形、下に二条線、身部は、一重線の輪郭を巻き、阿弥陀種子を蓮華座上月輪内に薬研彫し、下方に「延慶三年(1310)、庚戌、十二月・・」の紀年銘を刻む。
蓮華座上月輪内に刻まれた阿弥陀種子「キリーク」。 | 刻銘:「延慶三年(1310)、庚戌、十二月・・」 |
「元弘の碑」に向って右側列、展示の一部
向って左から、嘉元元年(1303)銘断碑、貞治四年(1365)銘結衆、文明(1469~87)銘月待板碑、文永七年(1270)銘阿弥陀三尊種子断碑。
*西武新宿線「東村山駅」下車、北方向へ徒歩 約16分。館内の板碑群は、整理が行き届いており、ここを拝観するだけで武蔵型板碑の概観を知ることができる。ぜひ、一見をお勧めしたい。(月曜日休館、拝観料 200円)。尚、当方URLの最後の数字は、徳蔵寺板碑の通し番号に合わせています。
(撮影:平成25年3月6日)