徳蔵寺(とくぞうじ)(東京都東村山市諏訪町1-26-3)(「元弘の碑」に向かって左側列に展示)
北足立郡小谷村(現、埼玉県鴻巣市)に旧在した板碑で、惜しくも上半を欠失する。身部に美しい一対の花瓶(けびょう)を刻んでいる。
徳蔵寺(とくぞうじ)嘉元元年銘断碑 (鎌倉時代後期 嘉元元年 1303年、緑泥片岩、高さ 69Cm 下幅 27.5Cm) |
身部は上半を欠失し、一重線の輪郭を巻く。中央に紀年銘、左右に一対の花瓶、下方左右に「沙弥道佛」、「他界也」と刻む。根部の状態もよく分かる。
身部、一対の花瓶と刻銘 | 向って右側の花瓶(けびょう) |
刻銘は中央に「延慶四年(1311)、辛亥、四月三日」、左右に「沙弥道佛、他界也」と刻む。
身 部
「延慶四年」の両側に供花を生けた一対の花瓶が美しく線刻されている。
身部、下部の刻銘
刻銘は、左右に「沙弥道佛、他界也」と刻む。
沙弥道仏が他界し、その追善の為、造立された板碑で、新座市の法台寺名号板碑には、「往生」と刻まれている。
徳蔵寺(とくぞうじ)(東京都東村山市諏訪町1-26-3)(「元弘の碑」に向かって右側列に展示)
観無量寿経に出る摂取不捨 偈(げ)の下二句を刻んだ板碑で、鎌倉時代後期 正和三年(1314)の紀年銘がある。
徳蔵寺 阿弥陀種子板碑(鎌倉時代後期 正和三年 1314年、緑泥片岩、高さ 73.5Cm 下幅 37Cm) |
板碑の上半と根部を欠失する。身部は輪郭がなく、大きな阿弥陀種子「キリーク」の下半と、下方の刻銘が残る。
右記紀年銘の左右に摂取不捨 偈(げ)の下二句が刻まれている。 | 銘:「正和三年、甲刁(寅)、七月廾三日、比丘尼、良忍」 |
刻銘は中央に「正和三年(1314)、甲刁(寅)、七月廾三日、比丘尼、良忍」、左右に「念佛衆生、摂取不捨」
観無量寿経に出る偈(げ)(下二句のみ刻まれている。)
偈(げ):[光明遍照(こうみょうへんじょう)、十方世界(じっぽうせかい)]、「念仏衆生(ねんぶつしゅじょう)、摂取不捨(せっしゅふしゃ)」
[(光明はあまねく十方世界を照らし、)[ 念仏の衆生をば摂取して捨てたまわず。]
徳蔵寺(とくぞうじ)(東京都東村山市諏訪町1-26-3)(「元弘の碑」に向かって左側列に展示)
北足立郡石戸村(現、埼玉県北本市)に旧在した板碑で、碑面に阿弥陀三尊種子を刻む。 鎌倉時代後期 文保二年(1318)の紀年銘がある。
徳蔵寺 阿弥陀三尊種子板碑(鎌倉時代後期 文保二年 1318年、緑泥片岩、高さ 90Cm 下幅 31Cm |
身部は、阿弥陀三尊種子を蓮華座上月輪内に薬研彫し、下方に「文保二年(1318)、戊午、五月・・」の紀年銘を刻む。
板碑 頭部
頭部山形、下に二条線、額部は薄く突出する。身部は一重線の輪郭を巻く。
端正に刻まれた「阿弥陀三尊種子」蓮華座も美しい | 刻銘:「「文保二年(1318)、戊午、五月・・」 |
阿弥陀三尊種子は、上方に阿弥陀の種子「キリーク」、向って右下 に観音の種子「サ」、左に勢至の種子「サク」を蓮華座上月輪内に刻む。
「元弘の碑」に向って左側列、展示の一部
向って左から、年号不明 阿弥陀種子板碑、享禄五年(1532)銘阿弥陀三尊月待板碑、文保二年(1318)銘阿弥陀三尊種子板碑。
*西武新宿線「東村山駅」下車、北方向へ徒歩 約16分。館内の板碑群は、整理が行き届いており、ここを拝観するだけで武蔵型板碑の概観を知ることができる。ぜひ、一見をお勧めしたい。(月曜日休館、拝観料 200円)。尚、当方URLの最後の数字は、徳蔵寺板碑の通し番号に合わせています。
(撮影:平成25年3月6日)