新福寺(しんぷくじ)阿弥陀種子板碑

 新福寺(しんぷくじ)(千葉県香取市香取1833)

   主尊に阿弥陀種子「キリーク」を刻む下総板碑で、室町時代前期 永享四年(1432)の紀年銘がある。

新福寺(しんぷくじ)阿弥陀一尊種子板碑 (室町時代前期 永享四年 1432年、黒雲母片岩、高さ 89Cm 幅 42Cm)

新福寺墓地に立つ。身部は、駒形の輪郭内に天蓋、中央に蓮台上の阿弥陀種子「キリーク」、左右に願文・紀年銘を刻む。

刻銘は、身部の向って右側に「・・・・・賀禅門・・・・・・」、左側に「永享四年(1432)五月二十一日、敬白と刻む。

板碑 頭部

頂部水平、身部は、駒形(五角形)の輪郭を巻き、輪郭内頂部に天蓋を刻む。

蓮台上に阿弥陀如来の種子「キリーク」を薬研彫する。 刻銘:「永享四年五月二十一日、敬白

新福寺 虚空蔵・阿弥陀種子双式板碑

 新福寺(しんぷくじ)(千葉県香取市香取1833)

   碑面に虚空蔵と阿弥陀種子を並列に刻んだ双式の下総板碑で、安土桃山時代 天正二年(1574)の紀年銘がある。

新福寺 虚空蔵・阿弥陀種子双式板碑 (安土桃山時代 天正二年 1574年、黒雲母片岩、高さ 105Cm 幅 60Cm)

新福寺墓地に立つ。頭部水平、身部は駒形の輪郭を巻き最上部に天蓋、中心に虚空蔵と阿弥陀種子を並列に、種子間と左右に願文・紀年銘を刻む。

板碑 頭部

頭部水平、身部は駒形(五角形)の輪郭を巻き、最上部に二尊共通の天蓋が刻まれている。

身部 中央

向って右に虚空蔵菩薩の種子「タラーク」、右に阿弥陀如来の種子「キリーク」をシンプルな蓮台上に刻む。

刻銘は、向って右に「為大仙智口居士三十三廻忌也」、左に「為妙桂禅定尼逆修七分全徳也」

中央に「天正第二年(1574)・・・・月四日、孝子、敬白と刻まれている。

刻銘:「天正第二年(1574)・・・月四日、孝子、敬白 刻銘:「為大仙智口居士三十三廻忌也」

虚空蔵菩薩(タラーク)は、三十三回忌にわりあてられた十三仏事の仏・菩薩。

新福寺 阿弥陀・虚空蔵種子双式板碑

 新福寺(しんぷくじ)(千葉県香取市香取1833)

   阿弥陀如来と虚空蔵菩薩の種子を主尊とする双式下総板碑で、安土桃山時代 天正九年(1581)の紀年銘がある。

新福寺 阿弥陀・虚空蔵種子双式板碑 (安土桃山時代 天正九年 1581年、黒雲母片岩、高さ 96Cm 幅 94Cm)

新福寺墓地に立つ。身部は、中央に二尊共通の天蓋(てんがい)、その下に阿弥陀種子と虚空蔵像種子を並列に、中央に紀年銘、左右に願文を刻む。

刻銘は、向って右端に奉為妙観禅定尼一周忌也」、左端に「為常光禅定門三十三回菩提也」

中央に「天正九年(1581)辛巳十月吉日孝子、敬白の紀年銘が刻まれている。

主尊の虚空蔵菩薩(タラーク)は、三十三回忌にわりあてられた十三仏事の仏・菩薩。一周忌は勢至菩薩(サク)だが、ここは通常の阿弥陀種子が刻まれている。

身部中央、阿弥陀種子「キリーク」と虚空蔵像種子「タラーク」 刻銘:「天正九年(1581)辛巳十月吉日

時代も下がった安土桃山時代の本板碑は、天蓋・蓮実が線刻で簡略化され、頭部も山形にこだわっていない。

新福寺(しんぷくじ)金剛界大日種子板碑

 新福寺(しんぷくじ)(千葉県香取市香取1833)

  金剛界大日種子を主尊とする下総板碑で、江戸時代前期 寛永十一年(1634)の紀年銘がある。

新福寺(しんぷくじ)金剛界大日一尊種子板碑 (江戸時代前期 寛永十一年 1634年、黒雲母片岩)

身部は、上方に天蓋、その下に金剛界大日種子「バン」、左右に紀年銘、造立者名を刻む。 刻銘:「寛永十一(1634)、甲戌、

刻銘は、向って右に八月吉日、道圓」、左に「妙秀、寛永十一、甲戌、年(1634)の刻銘がある。

本板碑は、「千葉県史料 金石文」には記載されていない。「千葉県史料 金石文」に記載の最も時代の新しい下総板碑は、正法院跡(香取市)の「元和九年(1623)十一月二日」

銘 金剛界大日・阿弥陀双式板碑となっている。「下総板碑」(清水 長明著、庚申懇話会刊)には、図像板碑として寛永十年(1633)西蔵院、寛永十五年(1638)大竜寺が紹介

れてお、江戸時代前期の寛永期が下総板碑の消滅期にあたるのかもしれない。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

新福寺 金剛界大日・阿閦種子双式板碑

 新福寺(しんぷくじ)(千葉県香取市香取1833)

  金剛界大日種子(五点具足)と阿閦(あしゅく)種子を主尊とする在俗出家者 夫妻の逆修供養板碑で、室町時代中期 長享二年(1488)の紀年銘がある。

新福寺 金剛界大日・阿閦種子双式板碑 (室町時代中期 長享二年 1488年、黒雲母片岩、高さ 76Cm 幅 57Cm)

身部は駒形の輪郭を巻き、中央に金剛界大日種子(五点具足)「バーンク」と阿閦種子「ウーン」を並列に、左右に願文、中央に紀年銘を刻む。

身部中央、金剛界大日と阿閦(あしゅく)種子

向って右に金剛界大日種子(五点具足)「バーンク」、左に阿閦(あしゅく)種子「ウーン」を並列に刻む。

刻銘は、碑面の向って右に道明禅門逆修善根菩提也左に為妙秀禅尼逆修善根也」中央に「長享二天(1488)戊申・・・と刻む。

 長泉院墓地(ちょうせんいんぼち)釈迦種子板碑                  石仏と石塔-目次!

新福寺(しんぷくじ)本堂

かっては香取神宮の神領から寺領として三十四石を配領されていた建仁三年(1203)開基の古刹。

 板碑(いたび)

*JR成田線 佐原駅前から千葉交通バス 県立病院・香取神宮・神里経由小見川行きに乗車、「香取神宮バス停」下車 南東方向へ約600m。

(撮影:平成25年3月13日)