新福寺(しんぷくじ)金剛界五仏種子板碑

 新福寺(しんぷくじ)(千葉県香取市香取1833)

   碑面に金剛界五仏の種子を刻んだ下総板碑で、五名の追善の為、室町時代中期 応仁二年(1468)に造立されている。

新福寺(しんぷくじ)金剛界五仏種子板碑 (室町時代中期 応仁二年 1468年、黒雲母片岩、高さ 97Cm 幅 65Cm)

板碑は新福寺墓地にあり、表面を上に地面に倒れている。身部は、上方に共用の天蓋、中央に金剛界五仏種子と造立趣旨・紀年銘が刻まれている。

板碑 頭部

頂部は山形ぎみ、二条線・身部の輪郭はなく、最上部に五仏共用の天蓋(てんがい)を刻む。

身部、金剛界五仏種子

蓮座上に二重円光背を線刻し、その中に金剛界五仏の種子を夫々薬研彫する。

向って右横にやや大きく「奉造立道仙禅門為卅三年造之」の刻銘があり、種子の横・下に三十三回忌・十三回忌と道仙を含む五名の法名が刻まれている。

以上から、「道仙禅門」の三十三回忌に造立され、併せて他の四名の法名を刻み夫々三十三回忌・十三回忌の追悼を行ったものと思われる。

金剛界大日如来の種子「バン」 阿閦如来の種子「ウーン」
十三年妙忍為也 卅三年道仙為也
不空成就如来の種子「アク」
卅三年妙心為也
阿弥陀如来の種子「キリーク」 宝生如来の種子「タラーク」
卅三年順清為也 卅三年幸俊為也

金剛界五仏 配置図

配置は上記の通りで、中央に不空成就「アク」、向って左上に金剛界大日「バン」が配され、両尊の位置が入れ替わっている。

刻銘:「應仁貳年(1468)、戊子、十一月日、孝子、敬白 向って右側、表題の刻銘

向って右側、表題の刻銘:「奉造立道仙禅門為卅三年造之」

身部、下方

宝生(タラーク)と阿弥陀(キリーク)の種子間に三十三年忌銘と三名の法名、

左端に「應仁貳年(1468)、戊子、十一月日、孝子、敬白の紀年銘が刻まれている。

新福寺(しんぷくじ)阿弥陀種子板碑

 新福寺(しんぷくじ)(千葉県香取市香取1833)

  新福寺墓地にある下総板碑で、 阿弥陀種子を主尊とする。室町時代中期 明応九年(1500)の紀年銘がある。

新福寺(しんぷくじ)阿弥陀一尊種子板碑 (室町時代中期 明応九年 1500年、黒雲母片岩、高さ 67Cm 幅 62Cm)

身部は、中央に阿弥陀如来の種子「キリーク」を薬研彫し、天蓋(てんがい)と蓮座で荘厳する。阿弥陀種子の左右に造立趣旨・紀年銘を刻む。

刻銘:「明應九年(1500)、庚申、三月日 刻銘:「為拳向全藤菴主菩提也」

刻銘は、向って右に為拳向全藤菴主菩提也左に「明應九年(1500)、庚申、三月日と刻む。

板碑 頭部

頂部は水平、身部の輪郭はなく最上部に天蓋(てんがい)を線刻する。

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新福寺(しんぷくじ)(曹洞宗)

本尊は、十一面観音。建仁三年(1203)開基の古刹。

 板碑(いたび)

*JR成田線 佐原駅前から千葉交通バス 県立病院・香取神宮・神里経由小見川行きに乗車、「香取神宮バス停」下車 南東方向へ約600m。

(撮影:平成25年3月13日)