新福寺(しんぷくじ)(千葉県香取市香取1833)
碑面に阿弥陀と虚空蔵種子を並列に刻んだ双式の下総板碑で、夫妻の追善の為、室町時代後期 永禄五年(1562)に造立されている。
新福寺 阿弥陀・虚空蔵種子双式板碑 (室町時代後期 永禄五年 1562年、黒雲母片岩、高さ 120Cm 幅 72Cm)
新福寺墓地に立つ。身部は、駒形の輪郭内頂部に共有の天蓋、中央に阿弥陀と虚空蔵種子を並列に、下方に蓮台を各々刻む。 |
主尊は、向って右側に阿弥陀種子「キリーク」、左に虚空蔵菩薩の種子「タラーク」を並列に刻む。刻銘は、種子間中央、左右と下辺の輪郭内側にある。
刻銘:「奉造立石佛一躰為鷹山俊公居士、十三回忌、菩提也」、「奉剋判口志者花林栄公禅尼三十三、年菩提也」、
「永禄五年(1562) 玄默閹茂十一月吉日、施主、敬白」
板碑は石仏と呼ばれ、鷹山俊公居士の十三回忌に、おそらく妻女であろう花林栄公禅尼の三十三回忌を兼ね、夫妻の冥福を願って造立されている。尚、妻女側に
刻まれている主尊 虚空蔵(タラーク)は、三十三回忌にわりあてられた十三仏事の菩薩で、十三回忌は大日如来だが、一般的な阿弥陀(キリーク)を刻んでいる。
板碑 頭部
頂部は水平、二条線はない。身部は駒形(五角形)の輪郭を巻く。輪郭内頂部に二尊共有の天蓋を刻む。
幅広の豪華な天蓋は、二段の瓔珞(ようらく)を垂らし、頂部に宝珠を刻んでいる。
刻銘:「永禄五年 玄默閹茂十一月吉日、施主、敬白」 | 向って右側、輪郭内側の刻銘 |
向って右側、輪郭内側の刻銘:「奉造立石佛一躰為鷹山俊公居士、十三回忌、菩提也」
新福寺(しんぷくじ)(千葉県香取市香取1833)
「明秀禅門」逆修供養の為造立された下総板碑で、 阿弥陀種子を主尊とする。室町時代中期 明応六年(1497)の紀年銘がある。
新福寺 阿弥陀一尊種子板碑 (室町時代中期 明応六年 1497年、黒雲母片岩、高さ 89Cm 幅 82Cm)
新福寺墓地に立つ。身部は、駒形の輪郭内頂部に天蓋、中央に阿弥陀如来の種子「キリーク」を蓮座上月輪内に、左右に造立趣旨・紀年銘を刻む。 |
刻銘は、向って右に「為明秀禅門逆修口口也」、左に「旹 明應六暦(1497)丁巳仲秋彼岸」と刻む。
板碑 頭部
頂部はなだらかな山形風、下の二条線はない。身部は駒形(五角形)の輪郭を巻き、輪郭内頂部に天蓋(てんがい)を線刻する。
新福寺墓地に二基並んで立っている。
新福寺(しんぷくじ)(曹洞宗)
新福寺墓地は、向って右側の県道を挟んだ北側(上側)にある。
*JR成田線 佐原駅前から千葉交通バス 県立病院・香取神宮・神里経由小見川行きに乗車、「香取神宮バス停」下車 南東方向へ約600m。
(撮影:平成25年3月13日)