西蔵院(さいぞういん)二尊板碑

 西蔵院(さいぞういん)(千葉県香取市大根1151)

   碑面に釈迦種子と阿弥陀種子を並列に刻んだ下総板碑で、千葉県史料 金石文篇 二では、鎌倉時代中期と紹介している。

西蔵院(さいぞういん)二尊種子板碑 (鎌倉時代中期、黒雲母片岩、高さ 125Cm 幅 70Cm)

門内、境内の左手に立つ。身部は、中央に釈迦種子と阿弥陀種子を並列に、下方に銘文を刻む。

左側、阿弥陀種子「キリーク」 身部、向って右側、釈迦種子「バク」

両尊は、天蓋(てんがい)と蓮台で荘厳する。

板碑 頭部

頭部山形、下に二条線、身部の輪郭はない。

西蔵院(さいぞういん)二尊種子板碑 (鎌倉時代中期、黒雲母片岩)

身部下方に願文と法華経方便品に出る偈を刻んでいる。磨滅が進んで肉眼ではほとんど不明。

下方、向って右から「十方仏土中唯有一乗法、无(無)二亦无(無)三除仏方便説」の法華経方便品に出る偈(げ)、

続いて「右志者為比丘尼鐃智房、逆修善根口生口仏、・・・・・平等利益」の刻銘がある。

偈(げ):「十方仏土中(じっぽうぶつどちゅう)唯有一乗法(ゆいういちじょうほう)無二亦無三(むにやくむさん) 除仏方便説(じょぶつほうべんせつ)

[ 十方の仏土の中には、ただ一乗の法のみあり、二もなく三もなし。仏の方便の説を除く ]

西蔵院(さいぞういん)阿弥陀図像板碑

 西蔵院(さいぞういん)(千葉県香取市大根1151)

   碑面に来迎印の阿弥陀如来を薄肉に刻んだ下総板碑で、江戸時代前期 寛永十年(1633)の紀年銘がある。

西蔵院(さいぞういん)阿弥陀一尊図像板碑 (江戸時代前期 寛永十年 1633年、黒雲母片岩)

上記、二尊板碑の前に立つ。阿弥陀如来を主尊とする図像板碑で、左右に造立趣旨と紀年銘を刻む。板碑の下方は、埋没する。

阿弥陀像の向って右に「口口権大僧都神講・・・・・、七分全口」、左に「寛永拾年(1633)・・・・」の刻銘がある。

板碑 頭部

頭部水平、身部の輪郭はなく、最上方に線刻の天蓋(てんがい)を刻む。

阿弥陀立像は、三重円の頭光を負い来迎印を結ぶ。頭光からは、一光二条の放射光が表現されている。

来迎 阿弥陀如来立像

刻銘:「寛永拾年(1633) 刻銘:「口口権大僧都神講・・・・・」「七分全口」

 西蔵院(さいぞういん)虚空蔵・阿弥陀種子板碑(千葉県香取市大根1151)

西蔵院(さいぞういん)虚空蔵・阿弥陀種子板碑 (年紀不明、黒雲母片岩)

板碑上方を欠損する。身部は、中央に縦線を入れ、各々上から天蓋、虚空蔵種子「タラーク」、阿弥陀種子「キリーク」を刻む。

各尊の種子は、月輪と蓮座で荘厳されている。上記、阿弥陀図像板碑の後、向って左側に立っている。

 知足院(ちそくいん)阿弥陀・十仏 種子板碑                       石仏と石塔-目次!

西蔵院(さいぞういん)(真言宗豊山派)

 板碑(いたび)

*JR成田線「佐原駅」下車、南方向へ徒歩 約3.6Km。JR佐原駅前にレンタサイクルがあるので、便利に利用できる。

(撮影:平成25年3月12日)