西福寺(さいふくじ)(千葉県香取市山之辺606)
十三仏の種子を刻んだ板碑で、室町時代中期 長享二年(1488)の紀年銘がある。
西福寺(さいふくじ)十三仏種子板碑(室町時代中期 長享二年 1488年、黒雲母片岩、高さ 69Cm 下幅 56Cm)
板碑群、中列、向って左から二基目。身部は、最上段に虚空蔵菩薩の種子、その下三列四段に、残り十二仏を蓮座上月輪内に刻む。 |
身部、駒形(五角形)の輪郭内に十三仏種子、その向って右側に「奉倫、妙徳禅門、妙久禅尼、逆修善根也」、
左に「長享二年(1488)戊申、十一月 施主敬白」の刻銘がある
板碑 頭部
頭部水平、身部は駒形の郭線を巻き、最上部に天蓋(てんがい)を刻む。
天蓋の下、十三仏の最上段に⑬.虚空蔵菩薩(三十三回忌)の種子「タラーク」を刻む。
(○内番号は、十三仏の順序)
十三仏は、死者の追善供養のために①.初七日(不動)、②.二七日(釈迦)、③.三七日(文殊)、④.四七日(普賢)、⑤.五七日(地蔵)、⑥..六七日(弥勒)、⑦.七七日(薬師)、
⑧.百ヶ日(観音)、⑨.一周忌(勢至)、⑩.三回忌(阿弥陀)、⑪.七回忌(阿閦)、⑫.十三回忌(大日)、⑬.三十三回忌(虚空蔵)の十三仏事にわりあてられた仏・菩薩をいう。・・
最初の十仏は、閻魔王など十王の本地仏を、初七日(不動)から三回忌(阿弥陀)までに当て、この十仏に七回忌 阿閦、十三回忌 大日、三十三回忌 虚空蔵を加えたのが十三仏。
虚空蔵種子の下、十二仏 (三列四段)
本十三仏板碑の配置は、下記の通りで、最下段右側の不動明王(初七日)を基点として、順次上に上がり、 虚空蔵菩薩(三十三回忌)に至る。
⑬.虚空蔵菩薩(三十三回忌)(タラーク)
口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口 | ||
⑫.金剛界大日如来(十三回忌) | ⑪.阿閦如来(七回忌) | ⑩.阿弥陀如来(三回忌) |
(バン) | (ウーン) | (キリーク) |
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⑨.勢至菩薩(一周忌) | ⑧.観音菩薩(百ヶ日) | ⑦.薬師如来(七十七日) |
(サク) | (サ) | (バイ) |
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④.普賢菩薩(四十七日) | ⑤.地蔵菩薩(五十七日) | ⑥.弥勒菩薩(六十七日) |
(アン) | (カ) | (ユ) |
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③.文殊菩薩(三十七日) | ②.釈迦如来(二十七日) | ①.不動明王(初七日) |
(マン) | (バク) | (カーン) |
十三仏の配置 (○内番号は、十三仏の順序)
刻銘:「長享二年、戊申、十一月 施主敬白」 | 刻銘:「奉倫、妙徳禅門、妙久禅尼、逆修善根也」 |
西福寺(さいふくじ)(千葉県香取市山之辺606)
阿弥陀種子を主尊とする板碑で、 武蔵型板碑との類似から鎌倉時代後期~南北朝時代の作品と思われる。
西福寺(さいふくじ)阿弥陀種子板碑 (年紀不明、黒雲母片岩)
頭部山形、下に二条線。身部は輪郭を巻き、天蓋と蓮座で荘厳した阿弥陀種子「キリーク」を刻む。
西福寺(さいふくじ)板碑(千葉県香取市山之辺606)
阿弥陀種子板碑(中列、右から二基目) | 西福寺 板碑(中列、右端) |
西福寺(さいふくじ)板碑群
板碑群は、前・中・後列の三列、計十六基が安置されている。
西福寺(さいふくじ)(真言宗智山派)
縁起によれば、平安時代末期 寿永元年(1182) 千葉介常胤の開基という。
*JR成田線「大戸駅」下車、南東方向へ徒歩 約13分で大戸神社、大戸神社 南の三差路で東方向へ左折、約650m道なりに歩けば不動院跡。そこから東へ約80mの四辻を左折、突き当りに西福寺がある。板碑群は本堂手前、向って左側に集められ、覆屋内に安置されている。
(撮影:平成25年3月12日)